戦前教育回帰論における正常化(2000年代)
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「正常化」の記事における「戦前教育回帰論における正常化(2000年代)」の解説
戦後教育を「異常」とする立場から1947年以前への復帰が、主に保守・右翼によって主張される。古くは1973年に自由民主党の若手右派議員で結成された青嵐会の趣意の中に「国民道義の高揚を図るため、物質万能の風潮を改め、教育の正常化を断行する。」という一節があるが、こうした主張が論壇などの中で目立つようになってきたのは2000年代になってからである。一例としては、中西輝政編『教育正常化への道 英国教育調査報告』(2005年、PHP研究所)など。現実的な改革論ではない場合が多く、戦後民主主義教育をイデオロギー的に全否定すべき存在と認識しているために「正常化」の語を使っていると言える。従って、「異常」とされた側からは「弾圧」「民主主義の否定」と批判される場合が多い。 中西の編著は自由民主党、民主党議員がイギリスのサッチャー政権の教育政策を範として渡英した「英国教育調査団」の報告をまとめたものだが、安倍晋三も調査団に名を連ねていた。安倍政権が教育基本法改正を強行したのは、教育正常化の強い意欲があったからとされる。 具体的な内容としては、次が挙げられる。 愛国心を教育すること。グローバリゼーションとの齟齬が指摘されている。 国旗・国歌を尊重すること。しばしば教育委員会・校長・教頭による崇敬・斉唱強要事件が起こり、思想及び良心の自由に対する侵害(日本国憲法第21条違反)と指摘されている。 「自虐史観」に基づく教育基本法の改正、歴史教科書の是正など。世界的に日本国・日本政府・日本人の歴史認識問題が指摘・非難され、日本国・日本政府・日本人の国際的な名誉・信義の問題に発展している。 部落解放同盟や日教組など、「反日」とされる組織の無力化。公務員、特に教職員の労働争議及び政治的行為(政権に敵対する行為に限定されている点に注意)の完全な禁止。集会・結社・表現の自由に対する侵害(日本国憲法第19条違反)、ストライキ権に対する侵害(日本国憲法第28条違反)と指摘されている。 ジェンダーフリーなどの「過激な性教育」を禁止すること。東京都立七生養護学校での「指導」は、教育への不当な介入・支配(教育基本法(旧法)第16条違反)であると断罪された。
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