成分分析の結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 03:51 UTC 版)
新日鉄の研究所で分析が試みられており、その結果、砂鉄を原料としていること、炭素量が少なく、混入物が多いことがわかった。刃の部分だけ炭素量の多い鉄で巻くようにしているものもあるが、炭素量が非常に少ないということは鉄の硬さが弱いということであり、実用的でないものもあって、品質差が大きかったということになる。ケイ酸塩などの混入物が多い質の良くない鉄で作られていたことが判明し、稲荷山鉄剣との精製度の違いが浮き彫りになった形となる。現在残っている物はほぼ古墳からの出土品であるが、最初から副葬用の儀礼刀として強度を無視して作ったのかは不明である。 東日本大震災後、被災した蕨手刀を復するとともに、岩手県立博物館にてあらかじめ保存処理時に採取し、保管されていた試料を用いて金属考古学的再調査が行われている。蕨手刀に含まれる銅・ニッケル・コバルトの3成分比からA~Gに分類し、その結果、蕨手刀の制作が複数の場所で行われ、それぞれの制作場所で異なった地域から作刀に必要な地金の調達がなされていた可能性が高いと指摘している。加えて、北海道地域と併せて考察し、律令期に常盤国を中心とする関東地方と東北地方北部の太平洋沿岸域との間で鉄の物質文化交流が活発化し、その影響が北海道に及んだ可能性があると指摘している。
※この「成分分析の結果」の解説は、「蕨手刀」の解説の一部です。
「成分分析の結果」を含む「蕨手刀」の記事については、「蕨手刀」の概要を参照ください。
- 成分分析の結果のページへのリンク