愛知方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 03:08 UTC 版)
愛知方式とは、1982年に愛知県の児童相談所で始まった赤ちゃん縁組である。乳幼児は家庭で愛情を持って育てられるべきという考えをもとに、児童福祉司の矢満田篤二が取り組み始めた。矢満田篤二は虐待死により死に至るケースで最多なのが、出生日の赤ちゃんであり、加害者の9割が母親であることを重視している。 愛知方式では妊娠をしたが自分は育てられない女性がいるという連絡が児童相談所などに入った場合、妊娠中からの実母の相談に乗り出産前から実母のケアをする。一方で行政側が養親を選定し、養子縁組を行う。妊娠中から悩む実母のケアを行うのは海外における養子縁組では一般的であるものの、当時の日本では画期的であった。愛知方式は現在の日本における特別養子縁組のあっせん方法の基礎となり、民間あっせん団体は多くがこの方式を活用している。特別養子縁組前提を前提とした「新生児里親委託」とも呼ばれる。養親の候補者の夫妻は、性別や障害の不問、産みの親から引き取り希望があった時には、真に子供の幸せになることであれば育てた子供を返すこと、また取材協力をすることなどの9箇条への誓約を経なければならない。なお、子供との年齢差を考慮し、親の年齢は40歳までとされている。不妊夫婦では、縁組後実子を授かるケースがあるため、養子との関係を考慮して暫くの間の避妊も指導するなど、養子の幸福に配慮している。また、出産女性の身や立場を考慮し、妊婦を自宅から離れた地で「ホームステイ預かり」することもある。 家事平成27年度司法統計「9 家事審判・調停事件の事件別新受件数 家庭裁判所別 」によると、裁判所別の特別養子縁組成立件数は、東京73件に続き、愛知63件となっている一方、甲府、大阪、奈良など一けた台のところも多く存在する。
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