恒温動物と変温動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:37 UTC 版)
体温を調節するしくみを基準に動物を分類すると、周囲の環境条件に寄らずほぼ一定の体温を維持することの出来る恒温動物と、周囲の環境の温度の変化に応じて体温が変化する変温動物の二種類に区分されることが多い。しかし、恒温動物と変温動物の体温調節能力は段階的であり、両者は厳密には区分できない。鳥類や哺乳類の多くは、日周体温変動がごくわずかな典型的な恒温動物であり、それ以外の種も内分泌系による自律的な何らかの体温制御能力を持っている。それ以外の爬虫類や魚類、昆虫などに属する種の多くは(決して「全て」ではない)内分泌系ではほとんど体温制御を行わない(体温制御そのものを行わないわけではない)典型的な変温動物である。 恒温動物にあっては、食物を体内で化学分解することにより発生する熱が体温の源となっている。このように発生した熱によって暖められた血液等の体液が血管などを通じて全身に循環することで生物は熱を持つこととなる。 恒温動物の場合、一定の体温から大きく変動すると生命の危機に立たされることとなる。その状態が長く続けば死につながるので、何らかの手段を用いて体温を維持し続ける必要がある。そのため体温が上昇したときは汗を流して体温を下げ(犬のように汗をほとんど流さず、体温の調節は浅速呼吸(パンティング(英語版))によって行っている恒温動物も存在する)、逆に体温が下降したときは体内の脂肪を分解して熱を得ることで体温を上昇させようとする。 一般に恒温動物の体温は体の部分によって微妙に異なる値をとる。傾向として、体の中心ほど体温は高く、表面に近いほど体温は低くなる。 恒温動物が通常の体温を下回ると低体温症と呼ばれる症状が発生することがある。ヒトの場合、風雨(雨で濡れた状態で風を受けること)などでも簡単に起きてしまい、35°C以下になると軽度の低体温症となり、30 - 25°Cで幻覚・錯乱が起き、それより低下すると死亡する危険が高まる。 変温動物であっても、種類によって活動をおこなうために適した体温の範囲が存在する。体温がその範囲を逸脱すると活動性が極端に鈍くなったり、死亡したりする。風邪などの疾病に罹った際は、発熱により病原体の増殖抑制や免疫機能の活性化が行われるが、高熱が続くと体力の消耗や脳などへの障害を及ぼす危険がある。 ヒト(人間)特有の体温調節の補助行動として、被服の着脱(被服行動)をあげることができる。着用による保温性の向上で体温低下に備えるほか、太陽光の遮蔽や通気の調節で体温上昇に抗することも可能である。
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