念力珍作戦とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 念力珍作戦の意味・解説 

ルパン三世 念力珍作戦

(念力珍作戦 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 23:33 UTC 版)

ルパン三世 念力珍作戦
監督 坪島孝
脚本 長野洋
原作 モンキー・パンチ
製作 藤岡豊、大木亀雄
出演者 目黒祐樹
田中邦衛
江崎英子
伊東四朗
音楽 佐藤勝
撮影 市原康至
編集 山地早智子
製作会社 国際放映[1]
配給 東宝
公開 1974年8月3日[1]
上映時間 82分[2][1]
製作国 日本
言語 日本語
配給収入 8億8300万円[3]
テンプレートを表示

ルパン三世 念力珍作戦』(ルパンさんせい ねんりきちんさくせん)は、1974年日本映画モンキー・パンチの漫画『ルパン三世』を原作とし、1974年8月3日に公開された同作品初となる実写映画[2][4]

概要

国際放映作品[注釈 1]赤塚不二夫中山千夏が企画に名を連ねたが、名義を貸したのみで実際に携わってはいない[4]。監督は東宝クレージー映画シリーズを手がけた坪島孝。公開当時の併映作品は『ノストラダムスの大予言[4]

ルパン三世目黒祐樹次元大介田中邦衛峰不二子江崎英子銭形警部伊東四朗がそれぞれ演じた[4]。なお、石川五ェ門に相当する役は本作に登場しない。踊る暗殺者軍団ドラゴンシスターズとして当時売出し中であったダンスグループポピーズが出演しており、デビュー曲も披露している[2]

峰不二子を中心に、大人向けのセクシー描写が多いのも特徴である[2]。原作で頻出する「♂マークと♀マークを絡ませた濡れ場表現」を、忠実に映像化している。

内容とあまり関係のないサブタイトル(念力珍作戦)は、「何か時代性のあるタイトルにしろ」という東宝側の指示で、当時流行していた超能力ブームにあやかりスタッフによりつけられたもの[注釈 2]

ルパンをはじめとする主要キャラクターの台詞をアニメ版の声優である山田康雄らの吹き替えに差し替える案があったという。真剣に検討されたものの、出演者側から反発を受け立ち消えとなった。山田はのちに「そりゃそうですよ。俳優がセリフしゃべらないで口をパクパクやってんじゃクサりますよ(笑)」と語っている[5]

本作におけるルパンの銃はモーゼルHSc消音器の付いたゴールドモデル)。

長らく、休日の午後や地方局で稀にテレビ放送される程度の視聴困難な作品だった[注釈 3]。そんな中、1993年発売のLD-BOX「ルパン三世 シアターBOX」にアニメ版劇場作品と共に本作も収録され、初ソフト化となった。2004年5月28日にDVDが発売された。

ストーリー

盗んだ車でドライブを楽しんでいたルパン三世は、その道中に刑務所へ護送中だった峰不二子に出会い、彼女を手に入れるため脱獄に協力するが、不二子はルパンを置き去りにして一人で逃げてしまう。警察に捕まったルパンは銭形警部からの取り調べを受けるが、「脱獄に協力したという証拠も証人もない」という理由で釈放される。その直後、ルパンを探していた次元大介と出会い、自身の素性を知ることとなる。ルパンは、かつてフランスで活躍した怪盗アルセーヌ・ルパンの孫であり、世界中の犯罪組織を束ねていた「ルパン帝国」の御曹司だった。しかし、「ルパン帝国」はルパン二世の部下だったマカ・ローニ一家の裏切りによって壊滅し、組織の生き残りは次元と、日本の孤児院で暮らしていたルパンだけとなっていた。

警視総監からルパンの素性を聞かされた銭形警部は、ルパンを逮捕すべく、大岡越前遠山金四郎の子孫である大岡刑事・遠山刑事と共にルパンを追い掛け回す。しかし、2人は口先だけの役立たずで、銭形警部はルパンによって散々な目に遭ってしまう。そのころ、ルパンの生存を知ったマカ・ローニ一家も、ルパン抹殺のため殺し屋を送り込んできた。

そんな中、ルパンは不二子と再会し、次元と3人で時価56億円もの宝石を盗むことになった。難なく盗みに成功したルパンだったが、肝心の宝石は不二子に一人占めされてしまう。そのうえ、ルパンと次元は銭形警部に追い回され、マカ・ローニ一家の殺し屋たちにも狙われるなど憂き目を見る。次々と現れる殺し屋に辟易したルパンは、「安全だから」という理由で警察に自首し、次元から呆れられてしまう。銭形警部はルパン逮捕の手柄で総監賞を授与され、宇宙人の念力が詰まっているという遮光器土偶を四次元研究所に護送するという任務を任された。

ルパンの自首を知ったマカ・ローニ一家は安堵し、世界中の物好きが欲しがるという遮光器土偶の強奪を画策する。それを探っていた不二子が捕まったと聞いたルパンは慌てて留置所を脱走し、捕らえられている山小屋へ乗り込み無事に不二子を救出した。一方、銭形警部たちが護送する遮光器土偶の強奪を目論むマカ・ローニ一家から次元が土偶をかすめ取り、3人はヘリで逃亡。銭形警部は、この機に乗じてマカ・ローニ一家の逮捕を試みるが、隙を突かれ逃げられてしまう。うまく姿を消したルパンたちだったが、乗っていたヘリが故障して不時着した四次元研究所にて護送役に勘違いされ土偶の盗みに失敗してしまう。

後日、遮光器土偶を護衛した手柄によって再び総監賞の授与を期待した銭形警部だったが、警視総監から「遮光器土偶を守ってくれたのはルパンだろう」と告げられ、ルパンへ感謝状を届けて来るよう命令される。一方、ルパンと不二子は港で戯れ合っており、その光景に次元は呆れ返っている。そこへ銭形警部が現れ、ルパンたち三人は逃走。その様を確認した銭形警部は感謝状を投げ捨て、逮捕すべく追いかけていった。次元・不二子と銭形警部による追走劇を尻目に、カメラに歩み寄ったルパンの「これでおしまい」という台詞とともにスクリーンの幕が下りる。

キャスト

※映画クレジット順

※以下ノンクレジット出演者

※映画登場順

スタッフ

脚注

注釈

  1. ^ アニメ版を製作した東京ムービーの創設者である藤岡豊は、当時東京ムービーの取締役制作部長、および国際放映の専務を兼任しており、本作の製作も務めた。
  2. ^ 本作DVDの映像特典である坪島監督へのインタビュー(聞き手:佐藤利明)によると、脚本がほぼ出来上がっていたところへ、上から「タイトルは『念力珍作戦』で行け!」というお達しがあり、セリフなどを直してどうにか無理矢理こじつけた、とのことである。
  3. ^ 近年では2004年1月2日深夜に札幌テレビ放送で地上波放映が行われている。
  4. ^ CDとして初めて商品化された。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 小林淳 2022, p. 433, 「付章 東宝空想特撮映画作品リスト [1984 - 1984]」
  2. ^ a b c d ゴジラ画報 1999, p. 184, 「ルパン三世 念力珍作戦」
  3. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン全史: 1946-2002』キネマ旬報社、2003年、198-199頁。ISBN 4-87376-595-1 
  4. ^ a b c d 小林淳 2022, pp. 342–343, 「第九章 種々のジャンルが交錯を奏でる曲節 [1973、1974] 二『日本沈没』『ルパン三世 念力珍作戦』」
  5. ^ 「作者vs声優座談会」『漫画アクション増刊号 TV&COMIC ルパン三世 その秘密全公開』第12巻第1号、双葉社、1978年1月1日、95頁。 

参考文献

  • 『ゴジラ画報 東宝幻想映画半世紀の歩み』(第3版)竹書房、1999年12月24日(原著1993年12月21日)。 ISBN 4-8124-0581-5 
  • 小林淳『東宝空想特撮映画 轟く 1954-1984』アルファベータブックス〈叢書・20世紀の芸術と文学〉、2022年5月14日。 ISBN 978-4-86598-094-3 

外部リンク




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「念力珍作戦」の関連用語

念力珍作戦のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



念力珍作戦のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのルパン三世 念力珍作戦 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS