心理的な強さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 06:35 UTC 版)
女性護身術で言われる、精神的・心理的な強さ、とは、肉体的な痛みや苦しみに耐える、いわゆる根性や忍耐力といったものではなく、セルフエスティーム、アウェアネス、アサーティブネスなどを高め、境界線(身体的・心理的な自分にとって許せる範囲と、そうでない範囲を指す)を確立し強化することにある。境界線には個人差があり、育った環境、文化的要素、人生経験、性格、その時の気分などが影響を及ぼす。 境界線を強化することによって、他人の必要や要求を満たす前に、まず自分自身の必要や要求を尊重する態度を身につけることで、他者との対等で健全な人間関係を築くことを示している。具体的には、女性が虐待の加害者に対して、加害者の言いなりにならず、加害者に立ち向かうことや、加害者の不快な行為に対して怒りを表すこと、女性と加害者が夫婦や恋人関係にあったとしても二人が別々の尊重されるべき人格を持つ人間であることを主張する、といった態度と行動を指す。このような「心理的な強さ」によって、暴力を予防することが女性護身術では重視されている。 また、男性であれば自立した個人としては当たり前とも言えるこうした行動を、女性が取った場合には、時に社会から(男性からだけでなく女性からも)「我が儘な女だ」や「冷たい女だ」といったの反発があるため、そうした反発に抵抗するための心理的な強さが求められる、ということも示している。そもそも、女性への身体的暴力や性的暴力は、男性が女性に敵意や女性を見下した価値観を持っていたり、女性に対して搾取的・権威的であったりするような、不健全な人間関係や、被害者と加害者の力関係の不均衡・強弱が存在している場合に於いて発生し易い。 ドメスティックバイオレンスにおいても、男性加害者は、自分の妻や彼女は「彼のモノ」で、女性とは「彼の欲求を満たすことに専念する」存在であり、また「彼女自身の欲求はいっさいもって」いない存在だと考えているため、このような加害者の標的にされないためには、女性の「心理的な強さ」が最も重要になる。
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