微生物資源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/31 06:55 UTC 版)
微生物生態学は、バイオテクノロジーに関わる多くの環境的および経済的課題に密接に関連している。とくに、近年登場してきた菌叢解析やメタゲノム解析などの分子生物学的な技術を利用して、微生物群集構造の経時的な変化を追跡したり生物多様性を評価したりできるようになってきた。このようにして得られる微生物生態学的な知見と生物工学的な手法を統合することによって、様々な環境問題・経済問題への取り組みがなされている。 二酸化炭素を隔離し過剰なメタン生成を防ぐように炭素循環を管理することは、地球温暖化を緩和する上で重要である。地球温暖化防止に対して、メタン生成菌による過剰なメタン生成を止める試みが進められている。 微生物間で起きる生物的な電気化学反応を利用して開発された微生物燃料セル(英:microbial fuel cell)が、新エネルギー分野の可能性を広げている。微生物燃料電池の開発によって生物エネルギーの利用可能性を拡大する研究が進められている。 病気に対する治療への利用も考えられている。例えば生物的防除などの文脈で、微生物資源を管理することが考えられている。 環境細菌叢は新規のものを含む抗生物質の貴重な情報源である。さらに、環境細菌叢では抗生物質耐性の進化的な獲得という現象も起きており、臨床分野で非常に注目を集めている分野に対しての別方向からの研究を提供するテーマにもなっている。 有害な化学物質の分解への活用も挙げられる。例えば重金属処理や農薬処理、有機系廃棄物処理、排水に含まれる油脂分解、などに関して研究が進められている。 このような新規な分野を発展させ、将来の可能性を実現するためには、微生物群集生態をよりよく理解することが必要である。
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