往復運動を回転運動に変換
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 02:19 UTC 版)
「キュニョーの砲車」の記事における「往復運動を回転運動に変換」の解説
ラチェット機構を利用し、最も早い時期にピストンの往復運動を車輪の回転として実現している。これはキュニョーの貢献のなかでも大きなものとされる。この発明はのちのパイオニアたちにロッドとクランクを結びつける考え方を提供し、また、ラチェット・ホイールを利用した器具にもつながる。ラチェット機構は前輪ハブ同心上に置かれ、ピストンの往復運動を直接車輪駆動に変え、これによりトラクションで進むことを実現した。 シリンダーは前輪上部に垂直に置かれ、シリンダー下部から2本のピストンのロッドが、前輪の両側に接続され、交互に下方に押し出される。一輪車のペダルの配置のように車輪の両側から交互に車輪を駆動する仕掛けとなっている。一輪車のペダルと異なるのは、車輪側にはペダルではなく、ラチェット歯車とさらにその外側にハブ同心を振り子の中心とするラチェット駆動用の爪が置かれ、この爪がコネクティングロッドから短いチェーンで接続される駆動するようになっていることである。 車輪両側のハブ車軸同心円にラチェット歯車が取り付けられている。さらに同じくハブ車軸上もう一枚外側に車両前方に向かう腕木が伸びる。この腕木にはラチェット機構のラック部(ストッパー部分)およびピストンの先端につながるチェーンがとりつけられている。 ラック部は一枚内側のラチェット歯車の溝とかみ合うようにセットされている。腕木部分は車輪のハブ部分で固定されているので車軸を中心として振り子状に上下に振幅運動をおこなう。この振幅運動は、ピストンから下りている股の下部先方とチェーンで接続され、ピストンの動力により下方に押し下げられることでラックが押し下げられ、ラチェット歯車が回転する。一回のピストンの押し下げで八分の一回転するように設定されているが、2気筒のピストンは交互に動くように設定されており(前述)、続く八分の一回転は反対側で推進されるため、片側だけに注目すると次のピストン動作時には四分の一回転すすんでいる。よってピストン運動4回で車輪が一回転する。 同時に、腕木部分にはやや中央よりにもう一つ上方への腕木が伸びており、上方は、ピストン後方に置かれた、左右に広がった腕木に接続されている。この腕木は左右に向かってシーソーのように可動するように中央が固定されており、片側のピストンの押し下げる力が、てこの原理により、もう片側のラッチをもどし、ピストンを引き上げる力として利用できるようになっている。 この仕組みはリバース(後退)できるように実装されていた。爪が上から下にピストンが下がる際に引っかかるようにすると前進し、この爪を反対にかけると、下から上に上がる際に引っかかるようになり後退する。後退時は前進時とは作用するピストンが入れ替わり、爪がかかる(つまり力のかかる)側とは反対側のピストンが下がる際の力が、ロッキング・アーム(天秤棒)を介して作用するようになっている。
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