形態・領域
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/04 08:26 UTC 版)
デザイナー=イラストレーター・芸術家・版画家・写真家などによって制作されるイラストレーションは非常に幅広い領域に亘る―― 文学:小説、物語、本の表紙、児童書(絵本)…… 資料、技術領域:辞書、百科事典、概説書や入門書、取扱説明書…… ジャーナリズム:記事の図解、風刺画…… 宣伝・広告:新聞広告、雑誌表紙、ポスター、パッケージ(箱や梱包)、ポストカード、ネオンサイン、ショーウィンドー …… その他:CDジャケット、キャラクターデザイン…… このリストは領域を限定するものではなく、こうしたさまざまな領域の境界線は不明瞭なもので揺れがある。例外はあるが、何らかのメッセージを持つテクストに付随するということと、印刷や版画といった手段により大量に複製されるということでイラストレーションは定義される。 イラストレーションは図解であるが、これは必ずしもイラストレーションがテクストに従属することを意味しない。ジョセフ・ヒリス・ミラーはホルバインを例に取りつつ、イラストレーションと文章は対話的関係にあり相互干渉し意味を二重化するのであって同一のものを表すことは決してないと表現している。 作家チャールズ・ディケンズの出世作『オリバー・ツイスト』にはジョージ・クルックシャンクによるイラストレーションが添えられているが、これはディケンズの小説を基にクルックシャンクが挿絵を描いたのではなく、ロンドンの下層社会を描いた版画連作のためのスケッチをディケンズが見て『オリバー・ツイスト』のキャラクターを着想したものであった(と少なくともクルックシャンクは主張した)。イラストレーターによるキャラクターが小説に先行したのであり、この構図は今日の日本のライトノベルやアニメ・マンガなどのキャラクタービジネスではより鮮明となっている。
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