廃止に伴う乗務員の失業問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 23:59 UTC 版)
「札幌市営バス」の記事における「廃止に伴う乗務員の失業問題」の解説
札幌市営バスの乗務員は、事業末期の2002年度(平成14年度)で641名(うち嘱託・臨時職員351名)が在籍していた。長年採用が抑制されていた正職員については、その多くが定年退職を迎える時期に合わせて事業廃止を行う計画としており、定年者以外の職員は、地下鉄部門や市の一般会計部門に異動することとされた。嘱託職員・臨時職員については、事業廃止・移管計画において、移管先民営事業者に雇用継続の配慮を求めることとしていたものの、義務付けはできず、実際には、移管先3社中2社は配慮をしないばかりか嘱託経験者には受験資格を与えない差別的取扱いまで行った。このため、最終期の運行を担った多くの嘱託職員が、その重要な職責にもかかわらず事業移管・廃止後直ちに失職に陥るという事態を生じた。 2003年4月の事業移管においては、移管先2社のうちじょうてつは、市営バス嘱託乗務員85名と整備員5名を採用し(移管後の藻岩営業所の乗務員は114名体制)、車両数で2倍近い規模に急拡大した事業の体制確立を図った。これに対し、いま一社のジェイ・アール北海道バスは、約200名の所要乗務員に市営バス嘱託乗務員は一切採用せず、同社臨時社員採用予定者で路線教習を兼ねて市営バス臨時職員に採用されていた者の入社を認めたのみだった。この結果、移管後の琴似営業所の乗務員の過半を管轄路線の乗務経験のない者が占めることとなり、利用者からの「地下鉄との接続について乗務員が把握していない」等の苦情につながることとなった。 2004年4月の北海道中央バスへの事業移管においては、北海道中央バスは所要240名の乗務員確保につき、「北海道全域を対象に募集をかけている」と称していたものの、実際は市営バス嘱託乗務員は対象から除外し、受験資格すら与えなかった。このため市営バス事業の最末期に在籍していた嘱託乗務員は、廃止間近で営業所から転出者が相次ぎ、人手不足の中での連続勤務などの過酷な勤務環境で運行を支える重責を果たしたにも関わらず、多くが4月1日から失職に至るという事態に陥った。 このような事態に対し、バス専門誌『バスラマ・インターナショナル』編集長の和田由貴夫は、同誌No.83(vol.15 No.3)において「本当に最後まで運行を支えた人が、職場を失うという事実は感傷を抜きにしてもやりきれない思いがする」と記し、救済を訴えている。
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