広島県タクシー協会の対応・風評被害
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「広島タクシー運転手連続殺人事件」の記事における「広島県タクシー協会の対応・風評被害」の解説
広島県タクシー協会(会長:濱田修)によれば、事件発覚後には広島市内で繁華街を中心に夜間のタクシー利用が落ち込み、特に女性客のタクシー離れが顕著となったほか、加害者Hが勤務していたタクシー会社(広島市東区)は中国運輸局から「日報・記録計(タコメーター)などによる日常の運行管理体制・運転手教育」などについて監査を受けたほか、会社が特定されて無言電話・嫌がらせを受けたため、社員が退職したり休みを取ったりした。 広島県国体局長・和田凡生は「1人が起こした事件のせいで広島全体のイメージが悪影響を受けてはたまらない」としてタクシー業界に対し改めて「親切で気持ちいい応対」の徹底を呼び掛けたほか、1996年10月11日に広島市内60社のタクシー会社の経営者ら約100人を招集して緊急会議を開いた。この会議は広島県タクシー協会広島支部(支部長:新谷英幸)が「ひろしま国体秋季大会開幕を控え、業界を挙げて信頼回復に乗り出そう」として呼び掛けたもので、加害者Hが勤務していたタクシー会社の幹部が出席して陳謝したほか、濱田が「今回の事件で市民に大変迷惑をかけた。タクシー業界の信頼を回復するために業界が一団となって努力していこう」「国体開催で県外客が増える。サービス向上に心掛け汚名返上してほしい」と話した。その後「協会に加盟する広島市内の全タクシー(約2,300台)に乗客向けの謝罪文・サービス向上や運転手教育徹底など再発防止策を盛り込んだチラシを車内掲示する」ことが決められ、協会は他地域でも会議を開き信頼回復を呼び掛けた。 加害者Hの元上司は『朝日新聞』広島総局(大阪本社の傘下)記者・樫山晃生の取材に対し「彼(H)の起こした事件に責任は感じているが、他の社員やその家族のことを考えて会社を潰さないようにするだけでも必死だった。1996年12月時点では(事件発覚直後と比べて)事件に関する電話は少なくなり、売上は落ちたが社内の結束は強くなった」と証言した。この取材結果を振り返り樫山は「新聞・テレビの報道では会社は匿名で報道されたが、結果的には会社がダメージを受けることとなってしまった。報道では真実を伝えなければならないが、何気なく書いたことでも思わぬ影響を与えることがある。『たとえ数行の記事でもおろそかにできない』と身が引き締まる思いがした」と振り返った。
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