山形和美とは? わかりやすく解説

山形和美

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/02 06:25 UTC 版)

山形 和美
人物情報
生誕 (1934-03-09) 1934年3月9日
日本山口県
死没 2019年5月21日(2019-05-21)(85歳没)
日本栃木県那須塩原市
出身校 西南学院大学東京教育大学
子供 山形由美(フルート奏者)
学問
研究分野 文学(英米文学)
研究機関 西南学院大学専修大学フェリス女学院大学筑波大学恵泉女学園大学
学位 文学博士
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山形 和美(やまがた かずみ、男性、1934年3月19日 - 2019年5月21日)は、日本の文学研究者翻訳家筑波大学名誉教授。専門は、近代イギリス文学、日本・欧米比較文学及び文学理論、日本近代キリスト教文学。

経歴

出生から修学期

1934年、山口県で生まれた[1]。1957年、西南学院大学文学部を卒業。東京教育大学大学院文学研究科(英文学専攻)に進学し、1959年に修士課程を修了。博士課程に進学したが、中途退学。

英文学者として

1959年、母校の西南学院大学短期大学部助手に採用された。1960年より同大学文学部専任講師。1963年に専修大学法学部専任講師となり、1967年に助教授、後に教授昇格。1973年、フェリス女学院大学文学部助教授に転じ、後に教授昇格。1979年からは筑波大学現代語・現代文化学系教授、文芸言語研究科教授。文部省の在外研修制度により、1984年から1年間イギリスのケンブリッジ大学ウルフソン・コレッジに在籍して研究に従事した。1997年に筑波大学を定年退官し、名誉教授となった。その後は清泉女子大学文学部教授として教鞭をとった。のち恵泉女学園大学人文学部教授、鶴見大学文学部教授、聖学院大学アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科教授も務めた。

1994年、学位論文『グレアム・グリーンの文学世界:異国からの旅人』を筑波大学に提出して文学博士号を取得[2]。学界では、日本キリスト教文学会を創設し、会長を務めた。

2019年5月21日、肺炎のため栃木県那須塩原市で死去。85歳没[3]

所属学会

受賞・栄典

家族・親族

著作

著書

  • 『岩のつぶやき:現代キリスト教徒文学論』笠間書院 1973
  • G・グリーン:呪縛と幻視』冬樹社 1977
  • 『現代文学の軌跡:想像力と変容』中教出版 1980
  • 『開かれた言葉:文学空間の亀裂』彩流社 1992
  • 『グレアム・グリーンの文学世界 - 異国からの旅人』研究社出版 1993
  • 日本文学の形相:ロゴスとポイエマ』彩流社 1994
  • 『言語空間の崇高性:ロゴスへの意志』彩流社 1999
  • 『G・ K・チェスタトン』清水書院 2000
  • 『文学の境界域:情と知の対峙』彩流社 2002
  • メドゥーサからムーサへ 文学批評の布置』彩流社 2004
  • 『グレアム・グリーン入門 特異な人間性と迫力に満ちた文学世界』彩流社 2010

著作全集

  • 『山形和美全集』(全14巻)(彩流社, オンデマンド版 2008
本書は2009年5月に日本キリスト教文学会特別賞を受賞した
  1. 第1卷『岩のつぶやき』
  2. 第2卷『T・S・エリオット(一)』
  3. 第3卷『T・S・エリオット(二)』
  4. 第4卷『グレアム・グリーン(一)グレアム・グリーンの文学世界』
  5. 第5卷『グレアム・グリーン(二)グレアム・グリーンの文学世界』
  6. 第6卷『グレアム・グリーン(三)グリーンの単行論集』
  7. 第7卷『シルキン』と『チェスタトン
  8. 第8卷『C・S・ルイス(一)』
  9. 第9卷『C・S・ルイス(二)』
  10. 第10卷『現代批評の況位』
  11. 第11卷『文学の衰退と再生』
  12. 第12卷『現代日本文学』
  13. 第13卷『文学-その内と外』
  14. 第14卷『講演集』

共編著

  • 『小説の語り』(岡本靖正, 岩元巌共編、朝日出版社) 1974
  • 『小説の時間』(岩元巌, 岡本靖正共編、朝日出版社) 1975
  • 『小説の空間』(岡本靖正, 岩元巌共編、朝日出版社) 1976
  • 『C・S・ルイスの世界』(こびあん書房) 1983
  • 『英語名句事典』(大修館書店) 1986
  • 『G・K・チェスタトンの世界』[改訂版](研究社出版) 1986
  • 『新しきミューズ - キリスト教文学の可能性』(新教出版社) 1987
  • 『C・S・ルイス「ナルニア国年代記」読本』(竹野一雄共編、国研出版) 1988.9
  • 『昭和文学60場面集 - 小説空間を読む - 居住編』(鈴村和成共編著、中教出版) 1990
  • 『聖なるものと想像力』上・下(彩流社) 1994
  • 『キリスト教文学事典』(教文館) 1994
  • 『愛のモチーフ:イギリス文学の風景』(彩流社) 1995
  • 『差異と同一化:ポストコロニアル文学試論集』(研究社出版) 1997
  • 遠藤周作:その文学世界』(国研出版) 1997
  • 夏目漱石事典』(平岡敏夫, 影山恒男共編、勉誠出版) 2000
  • 『キリスト教辞典』(岩波書店) 2002
  • 『グレアム・グリーン文学事典』(彩流社) 2004.9
2005年5月に第4回日本キリスト教文学会賞[研究・評論部門]を受賞した。

翻訳

第25回日本翻訳文化賞を受賞
  • 『古代ギリシア人』M・I・フィンレー著、法政大学出版局 1989
  • 『聖書の文学』L・ライケン英語版著、監訳、すぐ書房 1990
  • 『聖なる真理の破壊:旧約から現代にいたる文学と信』ハロルド・ブルーム著、法政大学出版局 1990
  • 『始まりの現象:意図と方法』エドワード・サイード著、小林昌夫共訳、法政大学出版局) 1992
  • 『重大なる疑問:懐疑的省察録』E・シャルガフ著、監訳、法政大学出版局 1992
  • 『読みの快楽』R・オールター英語版著、共訳、法政大学出版局 1994
  • 『英語迷信・俗信事典』オウピー英語版他、監訳、大修館書店 1994
  • 『トム&ヴィヴ:詩人の妻』マイケル・ヘイスティングズ著、彩流社 1995
  • 『世界・テキスト・批評家』サイード著、法政大学出版局 1995
  • ヨブ記 I』マシュー・ヘンリー著、すぐ書房 1995
  • 『理論の意味作用』テリー・イーグルトン著、法政大学出版局 1997
  • 『C・S・ルイス著作集 第4巻』すぐ書房 1997
  • ロマン主義のレトリック』ポール・ド・マン著、岩坪友子共訳、法政大学出版局 1998
  • 『グレアム・グリーン伝:内なる人間』マイクル・シェルデン英語版著、早川書房 1998
  • 『C・S・ルイス文学案内事典』W・フーパー英語版著、監訳、小野功生ほか訳、彩流社) 1998
  • 『キリスト教名句名言事典』小塩節・濱崎史朗共編訳、教文館 1998
  • 『ニュー・ミメーシス:シェイクスピアと現実描写』A・D・ナトール著英語版著、山下孝子共訳、法政大学出版局 1999
  • 『力に満ちた言葉』ノースロップ・フライ著、法政大学出版局 2001
2002年5月、第1回日本キリスト教文学会賞[翻訳部門]受賞を受章。
  • シェイクスピア聖書』S・マークス著、日本基督教団出版局 2001
  • 『廃棄された宇宙像:中世・ルネッサンスへのプロレゴーメナC・S・ルイス著、監訳、小野功生・永田康昭訳、八坂書房 2003
  • 象徴主義の文学運動 完訳』アーサー・シモンズ著、平凡社ライブラリー 2006
  • 『T・S・エリオット』クレイグ・レイン英語版著、彩流社 2008
  • 神学と文学』T・R・ライト著、聖学院大学出版会 2009
  • 『オリンピア劇場への誘い』(レーモ・スキアー、ヴォアカデミア・オリンピカ、ヴィチェンツァ、イタリア) 2010
  • 『グレアム・グリーンと第三の女』ウィリアム・キャッシュ著、彩流社 2010
  • 『マリア・クロス 現代カトリック系作家の想像力作用のパターン』ドナト・オドンネル英語版著、彩流社 2011
  • 『なぜ書くか:エリザベス・ボウエン / グレアム・グリーン / V・S・プリチェット英語版の往復書簡集』彩流社 2012

脚注

  1. ^ 訃報・筑波大名誉教授の山形和美氏死去、85歳(時事ドットコム)
  2. ^ CiNii(学位論文)
  3. ^ “筑波大名誉教授の山形和美氏死去、85歳”. 時事通信社. (2019年8月1日). https://web.archive.org/web/20190801121804/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019080100615&g=obt 2019年8月1日閲覧。 
  4. ^ 「秋の叙勲」『読売新聞』2013年11月3日朝刊
  5. ^ 平成25年秋の叙勲 瑞宝中綬章受章者” (PDF). 内閣府. p. 21 (2013年11月3日). 2015年11月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月1日閲覧。
  6. ^ 林望『イギリスは愉快だ』(平凡社、1991)158p

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