居住人口の都心回帰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/26 11:54 UTC 版)
高度成長期以降、地方から大都市圏への急激な人口流入によって地価が急騰したこと、都心周辺の交通事情や衛生環境が急速に悪化して「都市公害」と指摘されるほどになったことなどから、都心より離れた郊外に「庭付き・一戸建て」を手に入れることが人々の憧れとなった。このため、都心部の人口は一貫して減少し、一方で郊外の人口は爆発的に増えることになり、郊外化、ドーナツ化現象が起きた。しかしバブル崩壊以降の地価下落、企業・行政の遊休地放出、不良債権処理に伴う土地の処分、「高層住居誘導地区」(1997年より)の導入、タワーマンションの定着によって、都心での不動産取得が容易になったこと、都心の利点が見直されてきたことによって都心部で人口が増加に転じてきた。 こうして、都市部の地価高騰にともなう都心の人口減少や夜間人口の減少、人口のドーナツ化、郊外化が進む間、その対策として人の呼び戻しや定住化を進める都心居住という観念が現在示されている。都心居住の目的として、都心に古くから形成される伝統的コミュニティの維持と社会的安定性の確保、自治体の存在基盤としての住民確保、議員定数による政治的発言力の維持、保育所や小中学校をはじめとする既存の都市施設の有効活用、職住近接による通勤ラッシュなどの交通網への負担の軽減、などがある。 2002年頃から単なるスポットの開発ではなく、面的な展開を見せ始め、かつての「ドーナツ化」に対し「アンパン化現象」と呼ぶ論者も居る[要出典][誰によって?]。三大都市圏を中心に、全国の政令指定都市においても同様の現象が見られる。また、豪雪地帯にある都市では、マンションの管理人が除雪・融雪をするため雪かきの必要がない、降雪時の通勤渋滞に巻き込まれない、住宅性能が高いため少ない光熱費で暖かいなど、冬季の生活の質向上が都心回帰の動機の1つでもある。
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