小林よしのりとの論争
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 09:56 UTC 版)
「パール判決論争」の記事における「小林よしのりとの論争」の解説
中島が小林よしのりの『戦争論1』を「パール判事の発言を大東亜戦争肯定論の文脈で使用するのは不適切」と批判したことに対し、小林は、パールは『東京裁判の相対化』のみで登場したのであり、大東亜戦争肯定論は自分自身の主張と反論し「中島の国語力は義務教育以下」と反論した。 中島が、毎日新聞に掲載されたパール演説文「伝統的に無抵抗主義を守って来たインドと勇気をもって平和憲法を守る日本と手を握る」に基づいて、「パールは憲法9条を支持していた」と主張したことについて小林は、「パールは日本の平和主義を支持したのであり、平和憲法を支持などしていない」と再反論。 「パール判事が平和憲法の中にガンディー主義の要素を見出していた」という中島の主張について小林は、「生命至上主義」の平和憲法と「ナショナリズムを基盤とした独立闘争の手段」であるガンディー主義はまったくの別物であると反論。中島が平和主義を平和憲法として、それを憲法9条に絞り、ガンディー主義に結びつけた事を、史料が無くありえない断定であると批判し、平和憲法とガンディー主義を同一視する中島の解釈は浅はかで自分の主張を投影していると批判した。 これらの批判に対して中島は自身のブログで、パール判事の発言に関する史料考証の原則を提示し、ガンディー主義者のパールが日本の再軍備を批判、非武装中立の重要性を強調していたことを改めて指摘した。毎日新聞でのパール演説文に基づき、パールが平和憲法の中にガンディー主義の要素を見出していると分析しているだけ」とし、自分の主張をここに投影などしていないと反論した。 これに対し小林は、「(オウム事件発生時の)ポストモダンの宗教学者みたいな逃げ方」と批判し、さらに、パールが平和憲法にガンディー主義を見出すことはありえないこと、具体的にはガンディー主義とは死を恐れぬ非暴力・不服従の思想であり、憲法9条との同一視は有り得ないと主張。中島が、この主張は自身のものではないとしたことについては「パールが語っていない事を書きながら、私の主張ではないと答えた事に驚いた」として「憲法9条とガンジー主義が同じだなんていう誤った考えは、あくまでもパールが言ったことだ。自分は始めからガンジー主義の何たるかは知っていた」と居直ったことは、パールに失礼と非難した。中島著には『平和の宣言』からの引用に際し恣意的削除が見られることなどを主張した。これに対し、中島もまたブログで再反論した。 なお小林は、この論争を開始した理由の一つとして、2007年8月に放送されたNHKスペシャル『パール判事は何を問いかけたのか』で「パール判事は、平和憲法の精神が世界に広がることを願っていた」というナレーションで番組を締め括った点を、これは中島に影響されたデマとし、「史料操作をし、根拠なき『新事実』を売りにした本を書き、学者の権威に騙されたNHKがデマを拡散させる事態を見て中島は良心が疼かないのだろうか?」と非難した。
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