小惑星をホップしながらの移動とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 小惑星をホップしながらの移動の意味・解説 

小惑星をホップしながらの移動

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/08 03:51 UTC 版)

ミネルバ (ローバー)」の記事における「小惑星をホップしながらの移動」の解説

小惑星探査するローバー開発には、さまざまな困難が立ちはだかった。まず問題となったのが、どのような方法小惑星上を移動するのかという点であったMUSES-C目的地とする小惑星大きくて直径キロ以下であり、表面重力加速度極めて小さい。その上初め探査機が向かうこととなる小惑星は、重力加速度確実に予測することが困難であり、ある程度の幅を持った重力加速度対応できる移動機構が必要とされた。 天体表面移動するローバー移動メカニズムとしては、まず摩擦力利用する方法と、利用しない方法大別できる。摩擦力利用しない方法としては、ローバージェット搭載しジェット吹かせながら表面移動する方法天体が十分小さ場合などでは天体に紐やネット被せ、紐を伝って移動する方法、さらに天体強磁性を持つ物質でできている場合電磁石用い方法などが考えられる。しかしジェット吹かせて移動する機構では天体表面汚染するため、小惑星サンプルリターン目指すMUSES-C計画では採用できず、また電磁石用い方法などはどのような小天体でも使えるものではないため、摩擦力利用した移動方法採用することになった摩擦力利用した移動メカニズムとしては、車輪天体表面との摩擦力利用して移動する車輪移動機構複数の脚と表面との摩擦力利用する脚型の移動機構、そしてローバー表面押し付けることによって浮上させ、移動する浮上移動機構など考えられるこれまで月や火星などで活躍したローバー多くは、車輪移動機構採用していた。 これまで多くローバー利用されてきた車輪型の移動機構は、天体重力が十分大きな場合ローバー天体間の接触に対して垂直に働く摩擦力大きいため、スリップすることなく移動速度を得ることができる。しかしMUSES-C目指すような直径キロ以下の小惑星では重力小さいため接触力が小さく、そのため摩擦力小さくなり、ローバー駆動力摩擦力上回るスリップ繰り返してしまい前進力得られない。また表面凹凸によってローバーわずかな力が加わるだけで、天体表面からたやすくホップしてしまう。ローバーホップししまえば車輪駆動力天体表面伝えられないことになる。また小天体の脱出速度極めて小さいため、下手をすると表面凹凸に躓いたら最後そのまま宇宙空間放り出され戻ってこない可能性もある。 小天体を探査するローバー車輪移動機構採用した場合極めて小さな重力のためにローバーたやすくスリップホップしてしまい思うよう移動できないという難点がある。この難点克服するには車輪駆動速度極めて遅くするという方法がある。実際NASA開発進めていたMUSES-C搭載する小型ローバーMUSES-CN車輪型の移動機構用い移動速度秒速わずか1.5ミリ予定していた。しかし移動速度あまりにも遅い場合ローバー活動できる限られた時間内で移動できる範囲極めて狭くなってしまい、天体表面移動しながら探査を行うローバー特性生かしきれないことになってしまう。 MUSES-Cへの搭載目指す日本製ローバー移動機構検討では、極めて小さな小惑星重力以外にも検討しなければならない点がいくつかあった。まず先述たように目標天体である小惑星重力加速度推定不確実で、ある程度の幅を持った重力加速度対応できる移動機構が必要である点、続いて重量余裕ができた場合探査機重量バランス補正する重り代わりとして搭載されるため、日本製ローバー重量大きさ制限極めて厳しく探査機MUSES-Cからの分離機構含めて質量1キロ以下、大きさ十数センチ立方以内求められていたため、シンプルかつ軽量な移動機構が必要であった。またどのような姿勢小惑星着地して移動できることも重要であった。そして日本製小惑星ローバー開発関係者の間には、NASAローバー採用した車輪型の移動機構とは異な移動機構にしたいとの意識もあった。 結局日本製ローバー移動機構として、ローバー表面押し付けることによって浮上させ移動する浮上移動機構のひとつである、小惑星表面ホップする方法採用することになったホップしながら天体表面移動するローバーは、天体表面ローバー自身押し付けることによって生じ摩擦力平方向への速度を得るため、ホップする速さ大きすぎて天体脱出速度越えてしまうことに注意すれば小天上で極めてゆっくりとしか進み得ない車輪型の移動機構よりもはるかに速く移動することが可能である。

※この「小惑星をホップしながらの移動」の解説は、「ミネルバ (ローバー)」の解説の一部です。
「小惑星をホップしながらの移動」を含む「ミネルバ (ローバー)」の記事については、「ミネルバ (ローバー)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「小惑星をホップしながらの移動」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「小惑星をホップしながらの移動」の関連用語

小惑星をホップしながらの移動のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小惑星をホップしながらの移動のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのミネルバ (ローバー) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS