小惑星の観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 09:30 UTC 版)
日本からの小惑星の発見は1990年代までは、口径20~30cm級の望遠鏡を所有するアマチュア天文家の活躍により多数の成果を挙げていたが、1990年代末から研究機関の口径1m近い大望遠鏡で空をくまなく探す掃天観測を行うLINEARやNEAT、Space-watchなどのプロジェクトが発見を独占するようになる。2000年代初めには全世界で発見される小惑星の明るさの多くは20等級ほどになり、18~19等級の天体までしか発見できない日本のアマチュアには歯が立たなかった。しかし20等級より暗い天体を発見できる入笠山光学観測所により、再び日本国内からの小惑星発見がされるようになった。観測は期間を新月前後の数夜に限られて行われているが、それでも累計で数百個の小惑星を発見している。3分露光の画像を40枚ほど重ねる手法で観測が行われており、22等級よりも暗い小惑星も発見されている。同じく日本国内から、口径100cm望遠鏡を用いて重ね合わせを行っていない3分露光の画像を用いて小惑星を捜索している美星スペースガードセンターと比べても、1等級以上暗い小惑星が発見されている。 2010年代に入るとPan-STARRSなど口径2m近い望遠鏡による24等級の天体まで発見できる強力なプロジェクトが台頭し、小惑星センターがこういった大規模プロジェクトからの発見報告を優先的に整約するようになってから日本からの発見は再び年間で数個になっている。それでも地球に接近した時のみ短期間に限り明るくなる地球近傍小惑星においては、他のプロジェクトが発見できない時間・領域をカバーするように先どって発見することができ、引き続き成果を出している。 また、このソフトウェアシステムを用いた小惑星捜索の流れを中高生に体験させる学習プログラムを実施している。元々は観測所の中島厚研究員の出身校である長野県須坂市立相森中学校の創立60周年事業で同校の中学生が捜索の体験を行ったのが最初だったが、その後長野県伊那北高等学校や地元小中学校の課題研究学習に採用され、ほかに慶応義塾高校や東京工業大学附属科学技術高等学校なども参加している。なお相森中学校の生徒が発見した小惑星の1つに、発見から10年後の創立70周年事業において(187531) Omorichugakkou(相森中学校)と命名されている。
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