デブリ観測所
スペースデブリを監視する「地球防衛基地」
宇宙のゴミともいえるスペースデブリや地球に接近する小惑星(NEO:Near Earth Objects)は、宇宙活動や地球上の生物に深刻な影響を及ぼしたり、多くの種の生存を危険にさらす可能性をもっています。現在、そのような危険を防ぐために、デブリなどの観測がたいへん重要な課題となっています。
岡山県美星町にある美星スペースガードセンターは、デブリおよび小惑星の観測を専門に行う天文台です。最初からデブリなどの観測を目的として設計を行った施設は、日本で初めてであるだけでなく、世界でも初めてのものです。
美星スペースガードセンター・上齋原スペースガードセンター・筑波中央処理局の構成図
デブリを探索する大型光学望遠鏡と追尾用小型望遠鏡
美星スペースガードセンターでは、口径1mの大型光学望遠鏡と0.5mの小型望遠鏡を使って、小惑星とデブリの観測を行います。1m望遠鏡は、数10cm大のデブリや、火星軌道より外側の小惑星帯にある直径1kmの小天体までとらえることができます。どちらの望遠鏡も視野が通常の望遠鏡の数十倍あるのが特徴です。
主な観測の方法は、1m望遠鏡システムのほうは天体(小惑星やデブリ)の発見のための観測を行い、0.5m望遠鏡のほうは天体の追跡観測を行います。また、夕方や明け方の1時間ほどは低軌道のデブリの観測、夜間は小惑星とデブリの観測を交互に行います。2000年2月から、0.5m望遠鏡の試験運用が始まりました。1m望遠鏡は2002年2月の調整により、完成しました。今後、観測に使用しながらその安定した運用を目指す予定です。
美星スペースガードセンターの外観。計測制御棟およびスライディングルーフ式の小型観測棟(手前)と球形ドームを持った大型観測棟。
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