小児の臓器におけるセシウム137の長期的な取り込み(チェルノブイリ原発事故被曝の病理学的検討)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 14:58 UTC 版)
「ユーリ・バンダジェフスキー」の記事における「小児の臓器におけるセシウム137の長期的な取り込み(チェルノブイリ原発事故被曝の病理学的検討)」の解説
バンダジェフスキーは突然死を含む被曝小児患者の病理解剖を行い、セシウム137の体内分布を調査した。骨格筋をはじめとして、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺・胸腺・副腎などに高いセシウム137の集積と心臓の組織障害が認められた。再生能力が高い骨格筋細胞と違い、心筋細胞はほとんど分裂しないためにセシウム137が過剰に蓄積しやすく、心筋障害や不整脈などの心臓疾患が惹起されやすいと考察している。さらに、セシウムにより人間や動物の体内に引き起こされる病理学的変化を『長寿命放射性元素体内取り込み症候群=Syndrome of long-living incorporated radioisotopes(SLIR)』と命名した。SLIRは生体に放射性セシウムが取り込まれた場合に生じ、その程度は取り込まれたセシウムの量と時間で決まる。そして、その症候群は心臓血管系・神経系・内分泌系・免疫系・生殖系・消化器系・尿排泄系・肝臓系における組織的・機能的変異によって規定される。SLIRを惹起する放射性セシウムの量は年齢、性別、臓器の機能的状態により異なる。小児の臓器と臓器系統では、50Bq/kg以上の取りこみによって相当の病的変化が起こり始める。10Bq/kgを超える濃度の蓄積で心筋における代謝異常が起こり始める。 ベラルーシで医療活動を行った長野県松本市長の菅谷昭(外科医)は、バンダジェフスキーの論文を読み、『ベラルーシにいる時に心臓血管系の病気が増えていることを不思議に思っていましたが、この(バンダジェフスキー)論文で納得しました。解剖した結果ですから、非常に信頼性が高い。がんもさることながら今後は福島の子どもたちの心臓が心配です』と発言した。 WHO等のデータによると、2011年前後の冠動脈疾患の年齢調整死亡率の国際比較では、ベラルーシが男性1位、女性2位、ウクライナが男性2位、女性1位、ロシアが男女とも3位の発生率の高さだった。
※この「小児の臓器におけるセシウム137の長期的な取り込み(チェルノブイリ原発事故被曝の病理学的検討)」の解説は、「ユーリ・バンダジェフスキー」の解説の一部です。
「小児の臓器におけるセシウム137の長期的な取り込み(チェルノブイリ原発事故被曝の病理学的検討)」を含む「ユーリ・バンダジェフスキー」の記事については、「ユーリ・バンダジェフスキー」の概要を参照ください。
- 小児の臓器におけるセシウム137の長期的な取り込みのページへのリンク