対等な共同生活のための住宅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 14:44 UTC 版)
「福建土楼」の記事における「対等な共同生活のための住宅」の解説
世界の住宅は社会の階層を反映するが、福建の土楼は、対等な共同生活を送るモデル住居として、独特の特徴を持つ。すべての部屋は同じサイズ、同じ材料等級、同じ内装、同じ窓や同じドアで造られており、「ペントハウス」もなければ「高階層」もない。小さな家族は、地階から最上階の「ペントハウス」まで垂直区分で所有する一方、大きな家族は、2つか3つの垂直区分を所有する。 土楼は通常、1つの家の一族郎党が数世代で占有する。大きめの土楼は1つ以上の家党で住まう。建物そのものの他、井戸や祖廟、風呂、洗面所、武器庫といった多くの施設は、共有資産である。周囲の土地や農地、果樹園等でさえ共有された。土楼の居住者は、共同で耕作した。この習慣は、人民公社時代の1960年代にまで及ぶ。当時、土楼はしばしば、1つの共同生産チームで占拠されていた。小家族の各々は、それぞれの私有資産を保持し、ドアを閉じれば、すべての家族ごとに私的自由を楽しむことができた。 昔は、住居の割り当ては、家族の男性親族の人数に基づいていた。すべての息子が分家を開いた。祭祀の組織のような公務、共有エリアの掃除、大門の開閉、その他は、それぞれの親族が輪番制で行っていた。 すべての親族が1つの屋根を共有することは、一族の統一と保護を象徴した。すべての住居が中央の祖廟に面することは、祖先崇拝と一族の団結を象徴した。一族が大きくなると、土楼を同心円状に建て増ししたり、すぐ近くに土楼を建て増しして土楼群を造ったりした。こうして、一族はすぐそばにとどまり続ける。 今日では、新しくてより現代的な施設の備わった住宅が、中国の地方にも建設されている。多くの居住者がより現代的な家を購入して土楼を出て行き、あるいはより大きな街に出てより良い仕事を得ようとしている。しかし彼らはまた、先祖伝来の土楼には鍵をかけ、祭祀の時などだけ土楼に戻ってきて、離散した一族が再会する。
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