宗教の進化心理学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/18 14:14 UTC 版)
詳細は「宗教進化心理学」を参照 進化心理学は心臓や耳や免疫系と同じように、認知能力にも遺伝的基盤があり、従って自然選択によって進化したという仮定に基づく。宗教は人類の歴史の初期に脳の構造が進化した事によって生み出されたという一般的な合意が認知科学者の間にある。しかし宗教的精神の進化を駆動したメカニズムについては議論がある。二つの主流な説はどちらも、宗教は自然選択によって進化したと考えているが、一方は宗教それ自体が選択上の有利さをもたらしたと考え、もう一方は宗教が他の精神的適応の副産物だと考えている。「他の精神的な適応」には次のような能力が含まれるかも知れない: 危険を加えてくる可能性のある存在を推論(し発見)する能力 自然の出来事に原因となりそうな物語を備え付け(原因療法のように)対応する能力 他の人にはそれぞれの心があり、それぞれの信念・欲求・意図があることを認める能力(心の理論) 認知心理学者は人が生まれつき持ついくつかの世界を理解するための能力、素朴心理学や素朴物理学、素朴生物学といった概念や実体二元論を好む傾向が宗教概念の基盤となっていると推測している。捕食者を素早く自動的に察知する能力は持ち主の生存可能性を高めるが、それは風の音や雲に浮かんだ人型の模様にも反応するかも知れない。しかしそのような誤作動には進化的なコストがかからない。これらのような適応は人間がすぐには説明できなかった多くの事象、例えば雷、嵐、太陽や月の動き、生命の複雑さなどに意図を持った行為者の存在を想像することを可能にする。 心理学者スティーブン・ピンカーにとっては宗教的信念に向かう普遍的な傾向は真に科学的な謎である。彼は宗教が適応と見なせる基準を満たしておらず、宗教的な心理は祖先の生存を助けた他の精神的適応の副産物だと考えている。一方D.S.ウィルソンは宗教が集団の生存を助けた群選択的現象であると主張している。
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