宗教や哲学における役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/14 05:34 UTC 版)
古代ギリシア人の一部は、魂は転生の前にレーテーの川の水を飲まされるため、前世の記憶をなくすのだと信じていた。プラトンの『国家篇』最終章『エルの物語』では、アムレス(「不注意」の意)川の流れる「レテの平原」にたどり着いた、死者の話を語っている。 いくつかの神秘主義的宗教では、別の川ムネーモシュネーの存在も伝えられている。ムネーモシュネーの川の水を飲んだ人々は、すべてを記憶して全知の領域に達する。入会者は死後に、レーテーの代わりにムネーモシュネーの水を飲む選択を得ると教えられていたのである。 紀元前4世紀、もしくはさらに古い時代のものと思われる黄金の平板に、これら2本の川の名を含む韻文の銘が発見されているが、これは南イタリアの Thurii や、その他のギリシア世界のいたるところで発見される。 レーテーとムネーモシュネーの川は、ボイオーティアのトロポニオスの聖地にあり、崇拝者は神の諮問を受ける前に、その水を飲んだのだという。 近年では、マルティン・ハイデッガーが「存在の隠蔽」や「存在の忘却」を現代哲学の重大な課題とみなし、「レーテー( lēthē )」をその象徴とした。その例が、ニーチェの著作 (Vol 1, p. 194) やパルメニデスの本に見られる。
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