学術部門における在野
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/11 05:51 UTC 版)
荒木優太は、在野研究(者)の定義として「国立ないし私立を問わず、研究と教育が一体となった近代的大学に所属せず、そこから経済的に自立している者」「執筆された文章に論文的形式性があるもの」を挙げている。また、荒木は在野研究とはアカデミアに対する対抗ではなく、選択肢として存在すると述べている。 大学の教員と在野の研究者の差異は、大学の教員が大学から給料をもらって研究しているのに対し、在野の研究者は大学に所属していないため自費で研究をしている点が挙げられる。大学の教員ではない在野の研究者の中にも、実力的には大学の教員と同等の者も少なくなく、大学の教員や大学院生らにおける徒弟制のような上下関係も在野の研究者においてはあまりない。たとえば、市役所など公務員として勤務しながら研究を行う在野の研究者も少なくない。[要出典] ある特定の分野に精通している専門家であるという点では、教授資格を有する学者と同等であるため、在野の研究者によっては特別講師として大学院に招聘され、教鞭をとっている在野の研究者も一部で見られる。一方で、大学の教員が学問として体系化しないために、在野の研究者が主に研究してしまう分野もある(地名学など)[要出典]。歴史的にみると、江戸時代の著名な在野の例として、心学を説いた石田梅岩の名が挙げられる。彼は経歴や実績のない在野であったため、教え始めた頃は本格的な学者から軽視されていた。 大学の教員の人口に対して在野の研究者の人口は多く、大学の教員と在野の研究者との協力によって発展してきた学問も少なくない。例えば、昆虫学・天文学といった分野で、アマチュアは一定の役割を果たしてきたとアカデミア側から認められている。日本の民俗学においては、大学の教員と在野の研究者のあいだでの差別は、他の分野よりも少ない(考古学などが在野の研究者をあくまでも「素人」とみなすのに対し、民俗学では在野の研究者を大学の教員という職業研究者などと区別なく同等に扱うことが少なくない)。[要出典] また、社会科学などを専攻している在野の研究者の中には、フリージャーナリストや市民活動家のような活動を行ったり、またNPOなどの職員となる場合もある。そのような場合も、大学の教員と在野の研究者のあいだで共同で研究活動や社会的活動を行うことも少なくない。また、大学の教員と在野の研究者の間で研究対象に対して政治的・思想的に相容れない場合には、在野の研究者は大学の教員と距離を置いて研究活動を行う場合もある。[要出典]
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