学術研究の場としての研究林
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「京都大学フィールド科学教育研究センター森林ステーション芦生研究林」の記事における「学術研究の場としての研究林」の解説
大学は当研究林の設立時に、事前調査等を通じて以下の3点に注目していた。 スギの郷土の中心であること 寒地性植物と暖地性植物が交わってともに自生する大植物園であること 大きな流域実験の可能性を有する地形であること 実際、西日本有数の原生林の中で現在までに確認された植物の種類は約900種を数え、その中には前述のアシウスギやアシウテンナンショウのように「芦生」の名を冠されたものもあり、この豊富な植物相の中から、「植物ヲ学ブモノハ一度ハ京大ノ芦生演習林ヲ見ルベシ」という名言が生まれたといっていい。しかし、後述するように大学の研究施設でありながら財産形成の場として一定の利益を上げることを求められたことから、研究と利益確保の矛盾する命題を追う過程で、研究と施業の双方で妥協せざるを得ない場面に遭遇することもままあった。もっとも、ツキノワグマが樹液を吸うためにスギの樹皮を剥いで幹をかじるクマハギへの対策や人工林の育成および収穫技術に関する研究などのように、伐採や植林といった施業の中で進められた研究も少なくない。こうした施業を通じた研究をはじめとした林業や林産業に関する研究のほか、農林の多目的利用と森林情報の処理に関する研究、森林の保全機能や天然林の再生機構といった森林のメカニズムに関するもの、研究林内に生息する動植物の生態や分類に関する研究、気候や地形といった自然環境に関する研究など、多様な分野で当研究林をフィールドとした研究が行われている。 教育の場としての研究林では、農学部、農学研究科をはじめとした京都大学の各学部および研究科の実習や教育プログラムの場として使用されているほか、京都造形芸術大学や同志社大学など他大学の実習や社会教育の場として使用されている。
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