学習の容易さ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 16:26 UTC 版)
学習の容易さは、配列そのものの覚えやすさの他に学習者の適性や意欲にも大きく左右されるので、定量的な比較が難しい。同じ配列を練習してもすぐに覚えられる人となかなか覚えられない人がおり、さらには覚えられずに諦めてしまう人もいる。また、覚えやすい配列でも嫌々練習していてはなかなか覚えられないし、覚えにくい配列でも(よほど極端に覚えにくいものでないかぎり)一生懸命練習すれば覚えられるだろう。 親指シフト規格の覚えやすさについては諸説ある。他の配列より覚えやすいとする意見もあれば、覚えにくいとする意見もある。ただ、親指シフト規格を打てる者が一定数いるため、少なくとも他の配列に比べて極端に覚えにくくはないものと思われる。 諸説を列記すれば以下の通りである: 1つのキーにかな2~3音を割り当てるためにシフト操作が必要であることと、覚えるべきキーの数がローマ字入力よりも多いため、習熟にはローマ字入力より時間がかかる。 ローマ字入力で滑らかにタッチタイピングをするには、例えば「か」という音が「右手中指 (k) →左手小指 (a)」という手順に無意識に関連付けられなくてはならない。覚えるべき手順の数はローマ字入力で「1文字だけを出すつづりの数」と同じであるため、取りかかりはローマ字入力よりも難しいものの、いったんキーのポジションを覚えた後は早く上達する。 日本能率協会が1983年に行った調査では、キーボード未経験者にJISカナ、ローマ字、親指シフト規格の入力をそれぞれ練習させ、練習時間に対する入力速度の統計を取ったところ、入力速度の向上は親指シフト規格が一番速く、ローマ字入力が一番遅いという結果が得られている。これは、ローマ字入力では覚えるべきキーの数が少ないため取りかかりは容易であるが、習熟して頭の中で読みからローマ字に変換するプロセスが消えるまでに長く時間がかかるため、上達は遅いと説明されている。 現状では親指シフト規格の利用者は少数派である以上、ローマ字入力と併用する人が多い。ローマ字入力のみを覚える負荷と、親指シフト規格とローマ字入力の両方を覚える負荷を比べれば、当然ながら後者のほうが大きい。仮に親指シフト規格の利用者が多数派になっても、英字の入力のために英字配列は覚える必要がある。 親指シフトユーザの中には「親指シフト規格は英字タイプと似た操作性・似た打鍵範囲を持っているのだから、まず英字タイプをマスターしてから親指シフト規格を習得する方が有利だ」という主張もある。そもそも親指シフト規格の基本的な操作性は英文タイプのそれと似通っている。ゆえに、シフト操作がシンプルな「英文タイプ」を先にマスターすればキーの位置は確実に覚えられるので、あとは同じ打鍵範囲+親指シフトキーの操作でかな文字を打てる「親指シフト規格」を覚えることとすれば、学習に要する障壁を分割し難易度を下げられるためである。
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