学問的側面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 14:30 UTC 版)
「ボローニャ・プロセス」の記事における「学問的側面」の解説
大陸ヨーロッパの多くでは、以前の高等教育システムはドイツ型のモデルをとっていた。ドイツ型では職業教育と学問的高等教育の間にはっきりとした違いがある。またドイツ型の大学においては学生が最初に取得する学位は修士レベルのもの(ドイツにおいてはマギスターやディプローム)であった。このため、昔からある工学系の学位(engineer's degree)が大きな影響を受けた。既存の学位課程を学士課程と修士課程に分割することは以下のような場合で問題を起こしうる。 3年間の学士課程はさらなる教育を視野に入れたものではないので、さらに進んで修士号も取得したい学生は不利になる。 修士号が専門エンジニアの最小限の資格として実務上は従来型学位のかわりとなるだけである。 学士号は修士号に続く準備をするだけであり、学士号だけで大学教育を終えた者は労働市場において評価されないおそれがある。 結果的に、職能団体との合意により、資格の再評価が行われることになる。 1年間に60ECTSクレジットというのは年間1500から1800時間が学業のために使われることを意味する。しかしながら、ボローニャ・プロセスは学期については標準化しなかったため、必然的に異なる学期の長さにより一期あたりの学業負担が異なるという事例が出てくる。さらに、ECTSクレジットシステムにもとづいて単位互換をするプロセスからも不均衡が生じうる。コースあたりの全学業負担の評価についても、新しいシステムにコースを変換するプロセスについても、何と何が同じであるのか一元的に規定する権威を持った機関はない。このため、大学によって実質的な学業負担は異なり、国ごとに違った教育システムを持つ諸国の間では違いは明らかである。 学位のみで教育内容を標準化しないプロセスが学位をとりたい学生に不利になりうるということはたやすく考えられる。規定以上の学業をする必要があるとして行った学生についても、以前そうであったようにそれ自体の成績によって評価されるのではなく、取得学位が他の資格といっしょくたに同等とされてしまうことがありうるからである。同時に。各国における高等教育をとりまく態度や教育理念の違いにより、国ごとに(同じ国においても違う機関ごとに)規定の修業年限が違うものを意味する。ある国では全ての学位取得希望者が同じ期間で学業を修了し、よくできる学生はおそらく早く修了し得るが、別のところではコースの「長さ」は伝統的に修了最短年限であり、下で解説するフィンランドの事例のように必ずしも誰でも修了できるというものではない。
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