だいじん‐の‐たいきょう〔‐タイキヤウ〕【大臣の大×饗】
大臣大饗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 09:17 UTC 版)
親王などの皇族が大臣の屋敷を訪れた際の接待料理の形式。 平安末期の『兵範記』に書かれた藤原基実の保元元年(1156年)「大臣大饗」は、永久4年(1116年)の藤原忠通のそれを参考とし、事前の準備は宴会予定日の9日前から始められ、赤漆塗の膳を特別にあつらえ、その膳の上には白絹を現在のテーブルクロスの如く敷き、これまた特別にあつらえた折敷や漆塗の食器に料理を盛りつけたとある。 この時の具体的な内容は『類聚雑用集』に記録されているが、それによると、献立の内容は参列者の身分によって異なっており、皇族の正客(「尊者」と記述される)は28種類、三位以上の陪席公卿は20種、少納言クラスでは12種、接待する主人が最も少なく8種となっていた。献立内容は「飯」、調味料、生もの、干物、唐菓子(今のドーナツに近い)、木菓子(=果物類)。生ものには獣肉類は無く、魚介類、鳥類(雉など)で占められ、干物もアワビやタコ、蛙などで獣肉類は無い。調味料が別皿になっているところから見て、料理自体には味はなく、食べるときに好みで調味料をつけながら食べた物と考えられる。この調味料も身分によって差があり、尊者や公卿はひしおなど4種あったが、主人には塩と酢のみであった。また、食器として箸の他に鎌倉時代以降は衰退する匙(スプーン)が存在し、各料理を盛りつけた容器の大きさがほぼ同じで料理の序列が判然としていない点も後の時代の料理とは異なる特徴といえる。
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