大判用・Gクラロン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/26 09:14 UTC 版)
「シュナイダー・クロイツナッハのレンズ製品一覧」の記事における「大判用・Gクラロン」の解説
Gクラロンは前期型(2群6枚構成 ダゴールタイプ)と後期型(4群6枚構成 オルソメタータイプ)の2種類が存在する。双方ともに前群と後群が対称設計で主に接写撮影用であるが、実効イメージサークルがメーカー仕様より大きいこともあり、大判の一般撮影(特に8x10以上)にも多く活用される。すでに製造は終了している。レンズシャッターに組み込まれたタイプと、絞り機構だけ備えたバレルタイプがあり、バレルタイプはジナーボードなど等に付けて撮影する場合、ジナーシャッターなどと併用して使用する。光学系は同一である。バレルタイプの製造後半では一部を除きレンズの取り付けねじのすぐ上にウォーターハウス型アタッチメント用のスロットが設けられたが、他社製のウォーターハウス型アタッチメント用のスロットと異なり、専用の差し込み式のスロットカバーがないとスロットは開いたままになる。バレルタイプの絞りはロットの古い製品は多数枚の絞り羽根を備え完全円形絞りだったが、新しいロットの製品は角が尖った5~7角形の絞りに変更されている。こうした部分の動向は引き伸ばしレンズと同様である。古い設計のレンズながら質感描写と解像力はとても高く遠景での描写は優れているが、反面彩度が他種のレンズよりかなり低く描写され、軸上色収差倍率色収差が色濃く残存し、カラーバランスに偏りがある個体も多い。近接撮影時に倍率色収差と軸上色収差が激しいので、ソフトウェアでの補正は困難。華やかな発色をする大判シートフィルムで撮影する場合、目視で短所は判別できないが、デジタルバックやデジタルカメラに取り付けて撮影すると素子が大判シートフィルムほど大きくないため上記の欠点がより拡大する。 Gクラロン150mmF9 - 4群6枚構成。アタッチメントはφ35.5mmねじ込み。イメージサークルφ189mm。シャッター#0に組み込まれている物の他に、φ32.5ねじマウントのバレルタイプがある。主に接写撮影用。金属製鏡筒。絞りは角の尖った独特の五角形。フィルターワークはフロント部のみで行う。このレンズも彩度の低い低コントラストでカラーバランスに偏りがある描写だが解像力は高く、残存色収差はデジタルバックを使用しても目視では気にならない。 Gクラロン210mmF9 - 4群6枚構成。アタッチメントはφ49mmねじ込み。イメージサークルφ260mm。シャッター#1。バレルタイプがあり、これには穴が空いたままで閉じることができないウォーターハウス型アタッチメント・スロットがある。専用の差し込み式のスロット・カバーがないと穴をふさげない。主に接写撮影用。金属製鏡筒。絞りは角の尖った独特の五角形。 Gクラロン240mmF9 - 4群6枚構成。アタッチメントはφ52mmねじ込み。イメージサークルφ298mm。4×5in版フィルムカメラの標準レンズ的存在。シャッター#1に組み込まれている物の他にバレルタイプがあり、これにはシャッターがないが絞り機構は組み込まれている。製造番号12000000番台のレンズは小型で鏡筒がφ60mm、ライカマウント。ウォーターハウス型アタッチメントスロットはない。これを大判カメラに取り付ける際は、絞りを挟んで後群のレンズがラッパ状に広がっている特異な鼓型のレンズなので、M39ロックナットでリンホフ・ボードなどに前群を締め付け取り付け、後群を後部から取り付けないと装着できない。シャッターはジナーシャッターかローラーブラインドシャッター等を別途必要とする。絞りは角の尖った独特の五角形。絞りはF9からF64 1/2まで稼働する。金属製鏡筒。また、製造番号13000000番台のレンズは鏡筒の直径がφ78mmで、φ62mmP=0.75ねじマウント、レンズ筐体が大型化したが、レンズ後群は広がっていない。アタッチメントはφ52mmレンズ前ねじ込みのほか、このロットのバレルレンズは専用の差し込み式のスロットカバーがないと穴の空いたままで閉じることができないウォーターハウス型アタッチメントスロットを備える。金属製鏡筒。絞りは角の尖った独特の七角形で、F45で正七角形になる。絞りの刻印はF45 1/2までしかないが、F64相当まで絞りは稼働する。このバルクレンズをビューカメラにて使用する場合は、内部がφ62mmのステップダウンリングを使用するとリンホフボードにも容易に取り付けできる。全て光学系は共通。主に接写撮影用。バルク・レンズの場合、シャッターはジナーシャッターやローラーブラインドシャッター等別途シャッターが必要となる。彩度の低い低コントラストでカラーバランスに偏りがある描写で、残存色収差がかなり気になるのでデジタルバック等での使用は収差を拡大させるため推奨できない。解像力は高く、モノクロ写真で真価を発揮する。 Gクラロン270mmF9 - 4群6枚構成。アタッチメントはφ58mmねじ込み。イメージサークルφ335mm。シャッター#1。 Gクラロン305mmF9 - 4群6枚構成。アタッチメントはφ67mmねじ込み。イメージサークルφ381mm。シャッター#1。 Gクラロン355mmF9 - 4群6枚構成。アタッチメントはφ77mmねじ込み。イメージサークルφ444mm。シャッター#3。8×10in版フィルムカメラの標準レンズ的存在。 GクラロンWA210mmF11 GクラロンWA240mmF11 GクラロンWA270mmF11
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