増設工事
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完成以後、関西方面に送電されているが折からのオイルショックもあって『火主水従』の風潮から水力発電が見直されたこともあり、これ以降全国的に純揚水式発電所が建設されていく。1979年(昭和54年)には東京電力が長野県に新高瀬川発電所を建設(認可出力1,280,000キロワットは当時東洋一)し、これ以後100万キロワットを超える大規模な揚水発電所が相次いで建設されていった。だがその後も電力需要はとどまることを知らず、特に夏季にはクーラーなどの冷房設備の需要が高まることから供給量限界まで電力が消費されることも多かった。このことから、さらなる電力需要確保のために電源開発計画が行われた。 関西電力は黒川ダムのある市川水系に1992年(平成4年)、大河内発電所を建設。自然の池である太田池を改造して太田第一ダム~太田第五ダムまでのダム群を建設して上池とし、市川水系犬見川に市川水系では最大規模の長谷ダム(重力式コンクリートダム・102.0m)を下池として建設し、認可出力1,280,000キロワットの大容量発電所を完成させたが、これと前後して奥多々良木発電所増設工事を開始した。既設の一号機~四号機に加えて五号機と六号機を増設、700,000キロワットの発電能力を増強させようとするものである。増設工事は1998年(平成10年)に完成し、認可出力が1,932,000キロワットという出力において日本最大の水力発電所となり現在に至っている。なお、増設工事に際しては、施工管理の一環としてキーブロック解析が用いられた。 奥多々良木発電所増設と大河内発電所の建設により市川水系は西日本屈指の電源地帯となったが、上池の黒川ダムは1979年4月より兵庫県企業庁による「兵庫県水道用水供給事業」の水源にもなった。姫路市を始め市川流域に上水道・工業用水の供給も行うようになり、多目的ダムとして発電のみならず播磨西部の水がめとしても重要な役割を果たしている。
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