増設を前提とした公共投資拡大
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 02:06 UTC 版)
「福島の原子力発電所と地域社会」の記事における「増設を前提とした公共投資拡大」の解説
『エネルギーフォーラム』記者の佐野鋭は、「カネが無くなったから、また新たなカネづるを求める」という図式で捉えられることが多いことは認めながら、「より共存共栄を深めていきたい」という町民の声が多くあり、そのような図式は早計である旨を反論している。 しかし、双葉町の固定資産税収入が落ち込むにつれて実質公債比率は一時は30%以上となった。木舟辰平によると1995年度8.9%だったものが、1998年度13.8%、2000年度17.0%、2002年度19.7%と上昇を続けて行き、2003年〜2005年度の3ヶ年平均では27.3%と、全国ワースト13番目にまで悪化したという。 双葉町の場合、問題は増設誘致決議を実施したのちに顕在化していった。工程上の7・8号機運転開始を念頭に双葉町は公共事業の実施ペースを落とさず、結果として「取らぬ狸の皮算用」を地で行くことになったのである。これは、隣接の大熊町が法人税収を元に事業を実施していたのを見て、町民から大熊町にあるものを双葉町にも設けるような機運が高まっていた事情もあった。その一例は1987年から事業をスタートさせた総合スポーツセンターで、総事業費は50億円とも言われたが、2010年に至るも未完の状態であった。木舟辰平によると建設事業は1998年前後に特に集中して実施されたという。もっとも、その成果として双葉町の下水道普及率は2006年度末時点で72.8%と県内でも非常に高い水準に到達している。 また、原子力以外の国策による影響もあった介護保険導入はその一例で、1999年に17億円を投じて完成した「ヘルスケアふたば」は、保険が求めるサービス提供施設として建設されたものである。都市部では民間事業者がこうした施設建設に参入するが、”田舎”には参入する民間事業者は無く、結局自治体が施設整備し、全国的にも財政圧迫の一因となっていたものであった。
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