地表の被覆の人工物化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/18 21:11 UTC 版)
「ヒートアイランド」の記事における「地表の被覆の人工物化」の解説
もともと土や植物で覆われていたところに建物ができたり道路などとして舗装されたりすると、熱特性が変わってしまう。土や植物は蒸発・蒸散(蒸発散)を通して潜熱として熱を放出する(熱の一部が水の状態変化に使われるため温度変化が緩やかになる)ため日射による加熱を抑える働きがあるが、人工物化によりこれが失われる。また、人工物化により光の乱反射が増加する一方反射率が低下し、対流に伴う顕熱輸送(熱伝達)や赤外線の放射(熱放射)を通して大気を暖める。特に、アスファルトやコンクリートは比熱容量が大きいため、昼間に熱を蓄えて夜間に放出することで夜の気温上昇を招く。また、大気汚染に伴う大気エアロゾル粒子も熱の移動に関係していると考えられている。 人工物化で注目される点がいくつかある。 多くの都市では、都市化により農地や樹林地・草地が開発されて減少する。一方で公園が整備されたり、都市内に保存的に緑地が設けられたりする。これにより、緑地率の数字自体は大きく低下しないように見える事があるが、公園内には舗装や人工物があったり低木が多かったり緑地の「ボリューム」が小さいものもあり、ヒートアイランドを考える上では考慮が必要である。 建築物の材質変化の影響も指摘されている。日本では、建築物に占める木造の割合が低下しているのに対して、熱容量が大きいRC造など非木造の割合が上昇している。 河川護岸のコンクリート化、建物敷地内の不透水化も気温を上昇させる。 なお、アスファルト上やビルの壁面に近いところに人が立っている場合、それらから受ける放射熱(輻射熱)により、体感温度は実際の気温よりも高く感じられる事があると考えられている。 東京23区の500 mメッシュのデータ(東京都市計画GIS、2002年)では、区域のほとんどが人工被覆80 %以上であり、その中で荒川流域、新宿御苑、明治神宮、上野公園、皇居などが人工被覆の低い地域となっている。また名古屋市のデータ(名古屋市環境保全局、1996年)では、湾岸部から北区まで中心部はほぼ人工被覆75 %以上が連続している。
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