地方公共団体の条例における文化財
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/20 13:51 UTC 版)
「文化財」の記事における「地方公共団体の条例における文化財」の解説
文化財保護法第182条第2項は次のとおり規定している。 地方公共団体は、条例の定めるところにより、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができる。 この規定に基づき、地方公共団体(都道府県、区市町村)の多くがそれぞれ「文化財保護条例」等の名称の条例を制定し、国指定等の文化財以外の重要な文化財について、教育委員会が指定等を行い保護を図っている。ただし、地方公共団体指定等の文化財が国の指定等を受けた場合は、当該地方公共団体による指定等は解除される。地方公共団体の制度はおおむね国の制度に準じたものであるが、それぞれの実情に応じて個々の特色を持った制度が定められている。以下に東京都、山梨県、岐阜県、神奈川県横浜市、石川県金沢市、神戸市の条例の挙げる。 東京都文化財保護条例(抄) 有形文化財のうち重要なものを東京都指定有形文化財に指定することができる。 無形文化財のうち重要なものを東京都指定無形文化財に指定することができる。 有形の民俗文化財のうち重要なものを東京都指定有形民俗文化財に、無形の民俗文化財のうち重要なものを東京都指定無形民俗文化財に指定することができる。 記念物のうち重要なものを、東京都指定史跡、東京都指定旧跡、東京都指定名勝又は東京都指定天然記念物に指定することができる。 山梨県文化財保護条例(抄) 有形文化財のうち重要なものを山梨県指定有形文化財に指定することができる。 無形文化財のうち重要なものを山梨県指定無形文化財に指定することができる。 有形の民俗文化財のうち重要なものを山梨県指定有形民俗文化財に、無形の民俗文化財のうち重要なものを山梨県指定無形民俗文化財に指定することができる。 記念物のうち重要なものを山梨県指定史跡、山梨県指定名勝又は山梨県指定天然記念物に指定することができる。 文化的景観のうち重要なものを山梨県選定文化的景観として選定することができる。 伝統的建造物群保存地区で価値が特に高いものを山梨県選定伝統的建造物群保存地区として選定することができる。 岐阜県文化財保護条例(抄) 有形文化財のうち特に価値の高いものを岐阜県重要文化財に指定することができる。 無形文化財のうち特に価値の高いものを岐阜県重要無形文化財に指定することができる。 民俗文化財のうち特に価値の高いものを岐阜県重要有形民俗文化財又は岐阜県重要無形民俗文化財に指定することができる。 記念物のうち特に価値の高いものを岐阜県史跡、岐阜県名勝又は岐阜県天然記念物に指定することができる。 横浜市文化財保護条例(抄) 文化財のうち、地域住民が守ってきたもの及び地域を知る上で必要な文化財を横浜市地域文化財として登録することができる。 金沢市における伝統環境の保存および美しい景観の形成に関する条例(抄) 伝統環境を保存育成するために必要な土地の区域(以下「伝統環境保存区域」という。)または近代的都市景観を創出するために必要な土地の区域(以下「近代的都市景観創出区域」という。)を指定することができる。 都市景観の形成のため、建築物等および木竹を保存対象物として指定することができる。 神戸市文化財の保護及び文化財等を取り巻く文化環境の保全に関する条例(抄) 文化財のうち必要なものを神戸市登録文化財として登録することができる。 文化財のうち必要なものを神戸市地域文化財として認定することができる。 文化環境を保存するため必要な区域を文化環境保存区域として指定することができる。 文化環境保存区域内に存する有形文化財のうち重要なものを神戸市歴史的建造物その他の有形の文化的所産に選定することができる。
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