地方公共団体の文化遺産保護制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 06:54 UTC 版)
「文化遺産保護制度」の記事における「地方公共団体の文化遺産保護制度」の解説
文化財保護法第182条第2項では、次のとおり規定している。 地方公共団体は、条例の定めるところにより、重要文化財、重要無形文化財、重要有形民俗文化財、重要無形民俗文化財及び史跡名勝天然記念物以外の文化財で当該地方公共団体の区域内に存するもののうち重要なものを指定して、その保存及び活用のため必要な措置を講ずることができる。 この規定に基づき、全ての都道府県および大半の市区町村において「文化財保護条例」等の名称の条例が制定されている。ただし、地方公共団体の教育委員会が条例に基づく文化財に指定できるのは国指定の文化財以外の文化財のみであり、地方公共団体指定の文化財が国指定となった場合は、地方公共団体の指定は解除される。なおこの点については地方分権の潮流と合致しないとして、国指定となっても地方公共団体の指定を解除する必要性はないとする批判もある。このほか、国指定の文化財に関しては地方公共団体が指定に先立つ基礎的調査を行ったり、国指定の文化財の管理団体として保護を担っている例も多い。 近年では、22世紀に残す佐賀県遺産(佐賀県)や北海道遺産(北海道)といった、文化財保護法および文化財保護条例の枠組みから離れた試みも行われている。これらの施策の特徴は、従来型の「文化遺産の保存」から、産業や観光の振興を目的とした「文化遺産の活用」へ重点が移されていることである。このため、これらの制度における文化遺産の価値評価は、教育委員会を主体とした学術的評価のみならず、産業政策とも関連した多様な視点からの評価が盛り込まれたものとなっている。
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