国連海洋法条約の規定
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 22:13 UTC 版)
軍艦は、他の船舶と異なる法的取り扱いがなされるため、国連海洋法条約29条で厳密に定義されている。ただし、この定義は同条約の適用上のものであり、各国海軍内部において別箇の定義がなされることもある(条約上の定義は外交関係を踏まえた最広義のものと解される。)。 海洋法に関する国際連合条約 第二十九条 軍艦の定義この条約の適用上、「軍艦」とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮の下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいう。 この規定は、従来の慣習国際法上の解釈を明文化して、1958年に締結された公海に関する条約8条2項の定めを踏襲したものである。この規定は、次の4要件に分析できる。 一の国の軍隊に属する船舶であって、 当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、 当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮の下にあり、 かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているもの これらの要件からは、国際法上、軍艦はその外形や兵装により規定されるものではないことが分かる。また、この規定から以下の解釈が導かれる。 海軍のみならず、陸軍・空軍等に属している船舶も軍艦たり得る。また、武器を装備していない船舶(例えば補給艦等)も軍艦たり得る。 軍艦旗(自衛艦旗が相当する)等を掲揚している必要がある。 将校名簿(幹部自衛官名簿が相当する)に掲載されている士官(艦長又はその代行者)の指揮下にある必要がある。 乗組員が海賊や反乱水兵でない必要がある(102条参照)。 軍艦搭載艇たる短艇(旧日本海軍のそれは装載艇参照)であっても、軍艦旗を掲揚して、艇指揮(士官)の指揮の下にあり、艇員がいるなど、上記の各要件に該当すれば、その時点で軍艦となり、国外にあっては軍艦と同様の扱いを受ける。
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