国連海洋法条約発効まで
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/09 08:36 UTC 版)
「法的深海底」の記事における「国連海洋法条約発効まで」の解説
1982年に採択された国連海洋法条約は領海、公海、大陸棚、排他的経済水域など、海洋のあらゆる制度を包摂する大きな条約となったが、深海底の厳しい開発条件を定めた条約第11部に対しては先進国の不満が根強くほぼ一様に条約批准を控えたため、国連海洋法条約の発効は遅延した。先進諸国が異議を唱えた点として具体的には、自由主義経済の原理に合致しない生産制限の考え方が採用されていたこと、国際海底機構の開発主体である「事業体」に特権的地位が与えられていたこと、先進国側に過大な技術移転の義務が課されていたこと、が挙げられる。そのような状況で条約の深海底に関する諸条項の見直しの必要性が強く認識されるようになり、1990年より国連事務総長ガーリの主導で非公式協議が開催され、1994年7月28日に国連海洋法条約第11部実施協定が国連総会にて採択された。同協定は国連海洋法条約と一体となって解釈・適用されることとされ、国連海洋法条約と実施協定が矛盾するときには実施協定が優先されることとなった。こうして先進諸国にとっての障害が取り除かれたことで各国の条約参加が促進され、1994年11月16日に国連海洋法条約は発効した。
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