吾妻川酸性水中和事業
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事業主体の群馬県企業局は酸性水流入の最大原因となる湯川に酸性水中和施設を建設し、石灰を大量に投入することで河川水のpH値を中性にする「吾妻川総合開発事業」を1957年(昭和32年)より始めた。品木ダムはこの草津中和工場の下流に建設され、ダム湖である上州湯の湖で炭酸カルシウムと硫酸・塩酸を化学反応させて中和を促進、河水を中性にすると同時に石灰の攪拌(かくはん)・沈殿を受け持っている。さらに中和した湖水の上澄みを下流へ放流するために湯川発電所を利用した水力発電も行う。 1964年(昭和39年)にダムを始めとする吾妻川の中和施設は完成した。その後石灰貯蔵施設や第二の中和施設である香草中和工場も増設された。この品木ダム・中和施設の完成によって吾妻川の水質は大幅に改善された。そして、水棲生物も棲息するようになり、「死の川」の汚名を拭い去ることが出来た。世界最初の河水中和事業は成功したのである。 なお、日本における強酸性の水質を持つ河川としては吾妻川のほかに、北上川と雄物川水系玉川がある。北上川は源流部の松尾鉱山から湧出する硫酸水が、玉川は玉川温泉・新玉川温泉から湧出する温泉水が原因であったが、同様の河川酸性水中和事業が実施されている。北上川では四十四田ダム(国土交通省東北地方整備局)が汚染水を堰き止め、玉川では石灰石中和施設と玉川ダム(同左)を中心とした中和事業により河川環境が改善され、両川も利水に供するだけの水質改善を果たしている。こうした水質汚濁改善にもダムは大きな役割を担っている
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