吾妻川上流総合開発事業
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品木ダムを始めとする吾妻川中和事業の成功により吾妻川の水質が改善された事で、1952年(昭和27年)に計画され、吾妻川の酸性水問題で中断していた八ッ場ダムも1968年より本格的に計画が推進された。八ッ場ダム計画が再発表された同年に品木ダムは建設省に事業移管されたこともあり、こうしたことから八ッ場ダム建設反対派の一部からは、『品木ダムの建設自体が八ッ場ダム建設のための事業である』という見方もあった。 ダムは完成以後石灰水を貯水し続けたために、完成から40年以上が経過した現在ダム湖である上州湯の湖は堆砂が進行している。湖の堆砂率は79.8%と全国的に見ても堆砂率が高いダムに属し、2002年(平成14年)11月18日付けの朝日新聞においても「堆砂率の高いダム」として報道されている。だが、品木ダム湖はその目的自体が中和工場で投入された石灰を攪拌・沈殿させるためのものであり、ある意味堆砂が目的ともいえる。従って専門家の間では品木ダムに限って言えば朝日新聞の報道は的外れという批判もある。 だが放置するのはやはり中和機能に何れ影響を及ぼすため、上州湯の湖に沈殿した石灰の残滓(ざんし)を取り除く事は既に実施されていた。上州湯の湖の石灰浚渫(しゅんせつ)事業としては1985年(昭和60年)に浚渫船である「草津」号が就航し、ダム湖における浚渫を実施している。さらにダムおよび中和施設の機能を持続させるために当時の建設省関東地方建設局は1990年(平成2年)より「吾妻川上流総合開発事業」に着手した。この事業は老朽化した草津中和工場の改築工事とダム通信施設・ダム天端道路の整備などを中心としており、「品木ダム再開発事業」ともいえる。現在道路整備や管理機能の整備は完成し、中和工場改築などが施工中である。また、吾妻川流域で残る酸性度が高い支流・万座川に「万座ダム」を建設して中和を行う計画も進められている。ダムの具体的な規模や着工年度などについては未定である。 平成21年10月9日、前原誠司国土交通大臣が、国及び水資源機構が実施しているダム事業のうち、48事業の一時凍結を発表。48事業の中には、吾妻川上流総合開発事業も含まれていた。
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