同質倍数体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/10 14:59 UTC 版)
同質倍数体 (autopolyploid) とは、同じ種類のゲノムを複数持つ倍数体。しばしば、「同質」を省略して表記される。 三倍体や四倍体では細胞・器官・植物体全体が大きくなる傾向があり、農作物の遺伝的改良(育種)に利用されている。倍数体は種子ができにくいこと(不稔・部分不稔)もあるが、逆に三倍体の不稔を利用して「種無し」の品種を作ることにも利用されている。人工的に倍数性を増加(倍加)させるには、コルヒチンなどの薬剤を使うが、こうした薬剤とは無関係に偶発的に四倍体などが出現した事例も多い。 また、倍加に伴って環境適応性が向上することがある。この現象は、高緯度地帯に倍数性が高い植物が多いことの一因と推定されている。 以下、同質倍数体の例を挙げるが、通常は同質倍数体に含めない一倍体も、便宜上、併せて取り扱う。 一倍体(半数体) 二倍体の配偶子の状態。植物では、花粉培養などで半数性の個体を作り、遺伝的に固定する技術がある。動物の例としては、蜂や蟻など膜翅目昆虫では、雄は半数体である。 同質三倍体 栄養繁殖性の植物では、三倍体であることがそれほど珍しくない。園芸植物などでも見られ、作物としてはバナナやフキ(蕗)の栽培品種などがある。人工的に作った三倍体の例は、四倍体と二倍体を掛け合わせて作った「種なしスイカ」の例がある。また、魚類でも、三倍体を作成し、大型化した魚を養殖することが試みられている。 同質四倍体 同質四倍体の代表例にジャガイモがある。葡萄の品種には二倍体のほか、三倍体、四倍体も存在する。
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