各国の核戦略
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 19:13 UTC 版)
実際問題として核兵器は積極的な使用が困難な兵器であり、その存在意義は防衛上あるいは戦略上のものとなる。特にアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国といった大国は主に戦略的な目的のために核を保持している。 一方パキスタンや北朝鮮のような比較的軍事的に脆弱な国は、最後の安全保障として核に頼る考えを持っている。韓国や台湾、イラクなども同じ思想を持っていたが、韓国・台湾はアメリカの説得・工作により、イラクはイスラエル軍による原子炉破壊(イラク原子炉爆撃事件)により、それぞれ開発を断念した。また北朝鮮のように、核カードを切って譲歩を導き出そうとする国家も存在する。イスラエルはこの中間で、軍事力はアメリカの援助もあってかなり強大な部類に入るが、中東紛争の切り札として核を(保有の事実を明確にしていないことも含め)重視している。 これらの(一応は合理的な本来の)目的のほかに、国威高揚を目的として核開発を行う場合も少なくない。究極的な軍事的自立を目指せば核が必要になり、核という先端技術そのものも宇宙開発同様、国民の自尊心称揚の手段になると考えられるからである。これは一部の強硬な核武装論者の主張でもある。 南アフリカ共和国は核兵器を開発、配備しながら、廃絶したことを公表した唯一の国である。 上記のことを背景に、核兵器が最終兵器と呼ばれることもある。 2014年クリミア危機に置いてロシアが核使用を準備したことを示唆したり、北極圏の島や北方領土を含む千島列島が攻撃され戦闘が発生したという仮定のもと核兵器の限定的先制使用の可能性を想定した演習を同じくロシアが行うなど、局地的な戦闘においても積極的な核兵器の投入を想定したケースは存在している。アメリカ合衆国は2018年2月2日核戦略見直しを発表し小型核兵器の開発を打ち出した。核兵器が一度炸裂すると非常に被害が大きくなるためむしろこの被害の大きさが「使えない兵器」としてしまっているという考え方があり、核兵器を小型化すれば「使える兵器」となるという考え方があるとも言われている。
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