各国のムサカ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 00:29 UTC 版)
ギリシャで最も一般的なムサカは、耐熱容器にオリーブ・オイルでソテー、または揚げたナスのスライス、マッシュポテトまたは火を通したジャガイモと一緒に調理したラムの挽肉、ベシャメルソース(ホワイトソース)を順に重ねてオーブンで焼いた、グラタンに似た料理である。このレシピは1920年代にギリシャ料理にフランス料理の要素を取り入れ、東洋的な要素を取り除いてギリシャ料理の「脱亜入欧」を計った料理人ニコラオス・ツェレメンテス(Nikolaos Tselementes)によって紹介されたものだといわれる。ベシャメルソースにはバターを使わないことがあり、使ってもほんの少しか、オリーブ・オイルを用いたり、クリームで代用することもある。チーズやパン粉が上にかかることも多い。基本的なレシピにはいくつものバリエーションがある。ソースを使わない場合もあるし、他の野菜が入る場合もある。ギリシャで一般的なのは、バリエーションとしてナスに加えズッキーニ、ジャガイモ、マッシュルームを使うものである。ツェレメンテスによるギリシャの料理本には、ギリシャ正教会で肉食を禁じられる斎の日用のムサカさえある。これは肉も肉汁のソースも使わず、挽肉の代わりに細かく切ったナスなど野菜を用い、トマトソース、パン粉だけで作るものである。乳製品を禁じられていない期間中なら、フェタチーズを使ってもよい。 トルコのムサカはギリシア版とは異なり、材料を層にしない。ソテーや素揚げにしたナス、ピーマン、トマト、タマネギ、挽肉を使い、ジャージク(Cacık)やピラフと一緒に食べる。ズッキーニ、カリフラワー、ニンジン、ジャガイモを使ったものもある。 アラブ人のムサカは主にトマトとナスやズッキーニを使った温サラダのことで、イタリアのカポナータやフランスのラタトゥイユに似ており、メゼの一品としても供される。別名をムナッザラ(منزلة)またはムナッザリともいい、ヒヨコマメを入れたり、鶏卵でとじることもある。 ブルガリア、セルビア、ボスニア、ルーマニアで出されるムサカはナスやズッキーニのかわりにジャガイモが使われることが多い。バルカン半島の他の国では一番上の層にはカスタードが使われることが多く、カスタードには牛乳の代わりにヨーグルトを入れることもある。ルーマニアには、キャベツや卵つなぎ麺のムサカもある。
※この「各国のムサカ」の解説は、「ムサカ」の解説の一部です。
「各国のムサカ」を含む「ムサカ」の記事については、「ムサカ」の概要を参照ください。
- 各国のムサカのページへのリンク