古代の著述家たち
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/30 17:58 UTC 版)
プラトン派の哲学者でもあったプルタルコス(紀元1世紀ー2世紀)は、『倫理論集(モラリア)』第XI巻「月面に現れる顔」は、月の表面の模様の正体を主題とする対話篇で、「月の真横から太陽光が照る場合、なぜ半月になるのか。反射の法則では、光はほとんど反対の方向に行ってしまうはずだ。」という問いに答える。「反射の法則は滑らかで平らな鏡だけ」とし、凹面鏡、折りたたんだ平面鏡を「反例」として挙げる。そして、月の表面も、滑らかで平らな鏡はなく、粗くて不均一で、小さな様々な方向に向いた鏡があるのと同じである、と結論する。当然、これら「反例」もまた、反射の法則の適用で説明できるが、本文中にそのことは明記されていない。 アプレイウス(紀元2世紀)は、『弁明』第15章に同時代の視覚論として原子論の他に、3種類の外送理論(プラトン、ピタゴラス派、ストア派)を挙げる。いずれも反射の法則には違いがないとし、続く第16章で反射視学の主要な結果について、簡潔だが要を得た説明をしている。 紀元4世紀ころのダミアノス(英:Damianus又はDamianos of Larissa) は、『光についての仮説(英:Optical Hypotheses)』で、外送理論による視覚論を展開する。視線を眼から出る光とし、ユークリッドのように隙間のある構造を考える。また、visual coneを美的な根拠に基づいて直円錐だとした。プトレマイオス『視学(光学)』に視線の直進性の実験的な証明がある、と証言しており、もしこれが正しければ失われた第一巻にあったと思われる。反射の法則や光の直進性の根拠としては、(当時はプトレマイオスの著作とされていた)ヘロンの『反射視学』の最小距離を用いた導出を繰り返している。屈折の方向については、反射と同様に「等しい角度」と述べ、これが何をさすのか明瞭でない。 オリュンピオドロス(495-570)はアレクサンドリアの注釈家で、アリストテレス『気象論』への注釈において、視線の反射の法則を正しく述べ、ヘロンと同様の方法で導出している。屈折については、ユークリッド『反射視学(反射光学)』の記述が繰り返される。また「反射によって物体は小さく見え、屈折によって大きく見える」と述べる。
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