匹見ワサビと文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/21 14:02 UTC 版)
山葵天狗社(やまあおいてんぐしゃ) ワサビの豊作を祈る全国唯一のワサビ神社。匹見ワサビ発祥の地とされる匹見町三葛地区、大神ヶ岳(1170m)の中腹にあり、この山に伝わる鴉天狗(からすてんぐ)と天狗の団扇を刻んだご神体が収められている。 ワサビ神楽 伝統芸能である石見神楽(いわみかぐら)に、ワサビの豊作を祈願した新作神楽が地元の人たちによって奉納されている。西田保が木彫の面を製作し、石見神楽や民族研究をしている渡辺友千代が台詞を、会員全員がワサビ作りをしている三葛神楽保持者会が舞の振付を創作した。神楽の題は、ワサビ神社の正式名称に因んで「山葵天狗」、1983年6月5日同神社に初奉納され、それ以降も奉納が継承されている。内容は、神社のご御神体の天狗が、病虫害に苦しんでいる農民のために病虫害を退治するというものであり、島根県の無形民俗文化財の指定を受けている三葛神楽保持者会によって舞われる。同神楽独特の六調子にて舞われ、伝承のものに負けない迫力があるとされる。 うずめ飯 匹見町をはじめとする旧津和野藩には、ワサビを使用する料理が、既に中世には存在しており 、なかでも「うずめ飯」は、宮内庁が実施した全国郷土料理調査によって選定された「日本五大名飯(めいはん)」の一つにもなっている。この料理、ぱっと見、丼に白いごはんがよそってあるだけのように見えるのだが、お箸でごはん粒をかきわけると、鶏肉や里芋、ごぼう、にんじん、なめこなどが煮汁とともにごはんの下に“うずまっている”。そのことから「うずめ飯」と呼ぶ様になったとされる。匹見では、法事や祭り、正月など、お客さんがみえた時のご馳走として食されたとされる。その由来には、以下3つの説がある。 ワサビは少し町へ持っていけば、ひと月は生活できるほど、いい収入源になった。高価なわさびをごはんの上に乗せて出すと、外からおいでになったお客様が遠慮してしまうから、ご飯の下に隠した。 粗末な野菜ばかりで恥ずかしいから、ごはんで隠して伏目がちに差し出した。 昔は山鳥の肉などをたんぱく源にしていたが、生類憐れみの令が出された元禄の頃、おとがめを受けるといけないので隠すようになった。 内容は家庭によって店舗によって様々であるが、「ワサビが入った汁かけご飯」という条件だけは共通している。地元の飲食店等で提供されている他、現役で使用中の滑走路を走行し、100km走って信号が無いというコース設定の自転車レース「益田I・NA・KAライド」のエイドステーションでも提供されている。 「食」ブームを巻き起こし、アニメ、映画化されたコミック「美味しんぼ」に紹介された。
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