動脈硬化の分類と経過
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/03/28 06:07 UTC 版)
「頸動脈狭窄症」の記事における「動脈硬化の分類と経過」の解説
AHA(america Heart Association)で動脈巣の分類がされている。動脈硬化巣はある段階まで概ね一定の自然歴をとり、病変の進行に伴い安定化に向かうものと、不安定性が増強する例または時期があすと推定されている。すべての動脈硬化ではないが、一部の動脈硬化は不安定プラークに移行し、血流低下を招くか、塞栓源となることで脳梗塞の発症に至る。AHA分類typeⅠは適応反応適応反応による内膜肥厚に引き続き、少数の泡沫細胞(変性LDLコレステロールを含むマクロファージでありfoamy cellという)が散在性に認められる時期である。typeⅡになると泡沫細胞が集簇する。typeⅠもtypeⅡも早期病変と定義され、一般に症状を示すことはない。typeⅢはプレアテローマと呼ばれ、細胞外脂質の少量の沈着を認め、typeⅣでは顕著な脂質コアを認める。その後脂質コアを外膜側に押しやるように厚い線維性被膜が形成され安定化するとtypeⅤになる。プラークの破綻、プラーク内出血、潰瘍、血栓形成などを認めるのが不安定型といわれるtypeⅥである。typeⅣまでの進展は一方向性である。 動脈硬化の病理変化をAHA分類と比較する。動脈硬化はなんらかの慢性的ストレスによる内皮細胞機能障害から血漿成分の透過性亢進がおこることからはじまる。この過程では高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などのリスクファクターが重要な役割を担うと考えられている。これにより中膜平滑筋の収縮型から分泌型への形質転換が誘導され、内膜への平滑筋細胞の収縮と増殖がおこる。これを適応反応という。血漿成分の透過性亢進はLDLコレステロール(LDL-C)の内皮内への侵入も引き起こし、周囲細胞により酸化LDL-Cへと変化した後、平滑筋増殖をさらに促進する。酸化LDL-Cは周囲細胞にとって毒性があり、これを除去するために近傍の内皮細胞は接着因子を提示して単球(マクロファージ)を内皮内に誘導する(typeⅠ)、マクロファージは酸化LDLを貪食し続け、脂肪斑を形成するようになる(typeⅡ)。大量のLDL-Cの侵入に対応できない場合、マクロファージの寿命とともに細胞が崩壊する(typeⅢ)。やがて大量の脂質と細胞の死骸を含むlipid-rich necrotic coreを形成するようになる(typeⅣ)。その後は安定型のtypeⅤまたは不安定型のtypeⅥへ移行する。
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