かほう‐ていり〔カハフ‐〕【加法定理】
加法定理
加法定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 03:59 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動数学、物理学等において、特殊函数の加法定理(かほうていり、英: addition theorem)、加法法則(かほうほうそく、英: addition law/rule)あるいは加法公式(かほうこうしき、英: addition formula)とは、ある関数や対応・写像について、2 つ以上の変数の和として記される変数における値を、それぞれの変数における値によって書き表したもの。
概要
変数が 2 つの場合には関数 f の加法定理は形式的に 2 変数の関数 G を用いて f (x + y) = G(f (x), f (y)) の形に書き表される。このときの G がどのような関数としてとれるかという基準で加法定理を分類することも考えられる。
たとえば a という定数によって a 倍する写像 ma: x ↦ ax を考えるとき、a(x + y) = ax + ay となるという性質は分配法則と呼ばれるが、これはベクトル空間や環(あるいは環上の加群)などで成立する加法定理の一種である。もう少し一般に関数 f が f (x + y) = f (x) + f (y) の形の加法定理を満足するとき、関数 f は加法的であるまたは加法性を持つという。これは関数 f が加法群の間の準同型となることを意味している。また、指数法則の一つである指数関数の加法定理 exp(x + y) = exp(x)exp(y) などは加法が乗法に写るような加法定理である。
例
多様な加法定理が世の中には存在するが、代表的なものを以下に掲げる。
加法定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/07 03:05 UTC 版)
球面調和関数には「加法定理」と呼ばれる性質がある。これは三角関数における加法定理 cos ( θ ′ − θ ) = cos θ ′ cos θ + sin θ sin θ ′ {\displaystyle \cos(\theta '-\theta )=\cos \theta '\cos \theta +\sin \theta \sin \theta '} を一般化したものと捉えることができる。上式の右辺は球面調和関数に、左辺はルジャンドル多項式に置き換えられる。 二つの単位ベクトル x および y を考え、それらの球面座標をそれぞれ (θ, φ) および (θ′, φ′) とする。このとき、加法定理は以下のように表すことができる: P ℓ ( x ⋅ y ) = 4 π 2 ℓ + 1 ∑ m = − ℓ ℓ Y ℓ m ( θ ′ , φ ′ ) Y ℓ m ∗ ( θ , φ ) . {\displaystyle P_{\ell }({\boldsymbol {x}}\cdot {\boldsymbol {y}})={\frac {4\pi }{2\ell +1}}\sum _{m=-\ell }^{\ell }Y_{\ell m}(\theta ',\varphi ')\,Y_{\ell m}^{*}(\theta ,\varphi ).} (1) ここで Pℓ は ℓ 次のルジャンドル多項式である。この表式は実数調和関数・虚数調和関数の双方について成り立つ。この結果は単位球面上のポアソン核の性質を用いて、あるいはベクトル y を z 軸に沿うように幾何的に回転させたのちに右辺を直接計算することにより解析的に証明することができる。 特に、x = y の場合はウンゼルトの定理 ∑ m = − ℓ ℓ Y ℓ m ∗ ( θ , φ ) Y ℓ m ( θ , φ ) = 2 ℓ + 1 4 π {\displaystyle \sum _{m=-\ell }^{\ell }Y_{\ell m}^{*}(\theta ,\varphi )\,Y_{\ell m}(\theta ,\varphi )={\frac {2\ell +1}{4\pi }}} に帰着する。この式は一次元の三角関数における恒等式 cos2 θ + sin2θ = 1 を二次元に拡張したものとみなすことができる。 式 (1) の左辺 Pℓ(x⋅y) は ℓ 次の帯球調和関数(英語版)の定数倍である。この観点から、より高次元の場合にも次のように一般化することができる。Yj を n 次元超球面上の ℓ 次の球面調和関数の張る空間 Hℓ の任意の正規直交基底とする。このとき、単位ベクトル x に対応する ℓ 次の帯球調和関数 Z (ℓ)x は以下のように書き下せる。 Z x ( ℓ ) ( y ) = ∑ j = 1 dim ( H ℓ ) Y j ( x ) ¯ Y j ( y ) . {\displaystyle Z_{\boldsymbol {x}}^{(\ell )}({\boldsymbol {y}})=\sum _{j=1}^{\dim(\mathbf {H} _{\ell })}{\overline {Y_{j}({\boldsymbol {x}})}}\,Y_{j}({\boldsymbol {y}}).} (2) さらに、帯球調和関数 Z (ℓ)x (y) は適切なゲーゲンバウアー多項式の定数倍として表すことができる: Z x ( ℓ ) ( y ) = C ℓ ( ( n − 1 ) / 2 ) ( x ⋅ y ) . {\displaystyle Z_{\boldsymbol {x}}^{(\ell )}({\boldsymbol {y}})=C_{\ell }^{((n-1)/2)}({\boldsymbol {x}}\cdot {\boldsymbol {y}}).} (3) x および y が球面座標で表される場合、(2) および (3) を組み合わせると (1) が得られる。最後に、x = y の場合を評価すると次の恒等式が得られる: dim H ℓ ω n − 1 = ∑ j = 1 dim ( H ℓ ) | Y j ( x ) | 2 . {\displaystyle {\frac {\dim \mathbf {H} _{\ell }}{\omega _{n-1}}}=\sum _{j=1}^{\dim(\mathbf {H} _{\ell })}|Y_{j}({\boldsymbol {x}})|^{2}.} ここで ωn − 1 は (n − 1) 次元超球の体積である。
※この「加法定理」の解説は、「球面調和関数」の解説の一部です。
「加法定理」を含む「球面調和関数」の記事については、「球面調和関数」の概要を参照ください。
「加法定理」の例文・使い方・用例・文例
固有名詞の分類
- 加法定理のページへのリンク