加法・乗法・定数倍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 06:28 UTC 版)
同じ不定元を持つ二つの多項式 f, g について、それらの和 f + g および積 fg とは、それぞれ、形式的な和や積を、加法・乗法の交換法則および分配法則が成り立つものとして整理して得られる多項式のことである。1変数の場合について式で表すと次のようになる。不定元を x として、 f = ∑ k = 0 m a k x k {\textstyle f=\sum _{k=0}^{m}a_{k}x^{k}} および g = ∑ k = 0 n b k x k {\textstyle g=\sum _{k=0}^{n}b_{k}x^{k}} とおく。さらに、am + 1 = am + 2 = … = 0, bn + 1 = bn + 2 = … = 0 と定めておく。そのとき、和は f + g = ∑ k = 0 max ( m , n ) ( a k + b k ) x k {\displaystyle f+g=\sum _{k=0}^{\max(m,n)}(a_{k}+b_{k})x^{k}} となり、積は f g = ∑ k = 0 m + n ( ∑ i = 0 k a i b k − i ) x k {\displaystyle fg=\sum _{k=0}^{m+n}\left(\sum _{i=0}^{k}a_{i}b_{k-i}\right)x^{k}} となる。 多項式 f と数 c に対し、f の c 倍(一般には定数倍ないしスカラー倍という)とは、f の各項の係数を c 倍して得られる多項式である。これも1変数の場合について式で表すと、 f = ∑ k = 0 m a k x k {\textstyle f=\sum _{k=0}^{m}a_{k}x^{k}} に対して c f = ∑ k = 0 m c a k x k {\displaystyle cf=\sum _{k=0}^{m}ca_{k}x^{k}} である。 これらの演算は、多項式 f, g を多項式関数(後述)とみなしたときの、関数としての加法、乗法、定数倍と対応している。また、多項式の乗法は、数列に対する畳み込みとみることもできる。 可換環 R 上の不定元 x1, x2, …, xm に関する多項式全体の集合は、上述の演算によって R 上の多元環になる。これを(x1, x2, …, xm を不定元とする)R 上の m 変数多項式環といい、記号 R[x1, x2, …, xm] で表す。
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