1変数の場合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:55 UTC 版)
「量子力学の数学的定式化」の記事における「1変数の場合」の解説
H {\displaystyle {\mathcal {H}}} を状態空間とし、 H {\displaystyle {\mathcal {H}}} 上の(有界とは限らない)自己共役作用素Hをハミルトニアンとして固定し、 U t = e x p ( − i t ℏ H ) {\displaystyle U_{t}=\mathrm {exp} \left(-{it \over \hbar }H\right)} とする。 { V s } s ∈ R {\displaystyle \{V_{s}\}_{s\in \mathbf {R} }} を強連続1パラメータユニタリ変換群とし、Aをその無限小生成元とする。 このとき以下が成立する: 定理 (ネーターの定理) ― 次の3つは同値であるM16(p86): 任意の s ∈ R {\displaystyle s\in \mathbf {R} } に対し V − s H V s = H {\displaystyle V_{-s}HV_{s}=H} 任意の t ∈ R {\displaystyle t\in \mathbf {R} } に対し U − t A U t = A {\displaystyle U_{-t}AU_{t}=A} 任意の s , t ∈ R {\displaystyle s,t\in \mathbf {R} } に対し U t V s = V s U t {\displaystyle U_{t}V_{s}=V_{s}U_{t}} これは以下に述べる理由により量子力学におけるネーターの定理M16(p86)であるとみなせる。 まず最初の条件 V − s H V s = H {\displaystyle V_{-s}HV_{s}=H} は、ハミルトニアンHが強連続1パラメータユニタリ変換群 { V s } s ∈ R {\displaystyle \{V_{s}\}_{s\in \mathbf {R} }} に対して不変である事を示している。すなわち、Hによって記述される系は対称性 { V s } s ∈ R {\displaystyle \{V_{s}\}_{s\in \mathbf {R} }} を持つ。 一方2番目の条件は U − t A U t = A {\displaystyle U_{-t}AU_{t}=A} の左辺はハイゼンベルク描像で見たときのAの時間発展であるので、この条件は対称性 { V s } s ∈ R {\displaystyle \{V_{s}\}_{s\in \mathbf {R} }} を定義する無限小生成元が運動の不変量である事を意味している。 解析力学におけるネーターの定理は系の対称性の無限小変換が運動の不変量になり、その逆も成り立つというものだったので、上述した2条件の同値性は量子力学におけるネーターの定理であると解釈できる。なお3番目の条件は、時間発展してから対称性 V s {\displaystyle V_{s}} で系を動かす行為と、対称性 V s {\displaystyle V_{s}} で系を動かしてから時間発展する事とが同一である事を意味している。 なお、ほとんどの物理の教科書では、上述した量子力学におけるネーターの定理を時間微分と交換子を用いて記述しているがM16(p86)、そのような記述方法は作用素の定義域に関する多くの問題点を含むM16(p86)。
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