確率の基本的性質と定理
要素の個数が有限個の集合のことを有限集合 という。
一般に,有限集合 A に属する要素の個数を n ( A ) で表すことにしよう。
根元事象が全て同じ程度に確からしいとき,事象 A の確率を n ( A ) / n ( Ω ) で定義し,これを Pr{A} と書く。
このように確率を定義すると,明らかに次の事柄が成り立つ。
- 確率の基本的性質
- 確率の加法定理
- 2 つの事象 A と B が互いに排反であるとき,
Pr{A ∪ B} = Pr{A} + Pr{B}
加法定理(排反の場合)
- 2 つの事象 A と B について,一般に,
Pr{A ∪ B} = Pr{A} + Pr{B} - Pr{A ∩ B}
加法定理(一般の場合)
III,IV を 確率の加法定理 と呼ぶ
- 2 つの事象 A と B が互いに排反であるとき,
- 確率の乗法定理
一般に,事象 A が起こったという条件のもとで事象 B の起こる確率を,A のもとでの B の 条件付き確率 といい,Pr{B | A} で表す。ただし,Pr{A} ≠ 0 とする。
Pr{B | A} = n ( A ∩ B ) / n ( A ) = Pr{A ∩ B} / Pr{A} …… ( 1 )
条件付き確率
V を 確率の乗法定理 という。
- 事象の独立・従属
一般に,2 つの事象 A,B があって,A が起こった場合と,起こらなかった場合とで B の起こる条件付き確率が等しいとき,事象 B は事象 A と 独立 であるという。
このとき,Pr{B|A} = Pr{B} であり,( 3 )式がなりたつ。( 3 )式は A と B について対称なので,事象 A が事象 B と独立なら,事象 B も事象 A と独立である( A と B は 互いに独立 である )。
これに対して,Pr{B | A}≠ Pr{B} のとき,A と B は互いに 従属 である。
これは,もう一つの 確率の乗法定理 である。
例題:
2 種類の薬剤 A,B がある。A 薬は 70% の患者に有効であり,B 薬は 60% の患者に有効である。また,A 薬,B 薬共に有効な患者は 50% であるとする。
A 薬が無効であった患者に B 薬を投与すると何% の患者に有効となるか。
また,B 薬が無効であった患者に A 薬を投与すると何% の患者に有効となるか。
解答:
A 薬が有効であるという事象を A,無効であるという事象を


問題は条件付確率 Pr{B |


条件としてわかっていることは,
Pr{A} = 0.7, Pr{B} = 0.6 および Pr{A ∩ B} = 0.5
である。
ところで,


Pr{




Pr{




と分解することができる。ここで,
Pr{


= Pr{

= 1 - ( Pr{A} + Pr{B} - Pr{A ∩ B})
= 1 - 0.7 - 0.6 + 0.5 = 0.2
となる。乗法定理の ( 1 ) 式により,
Pr{B |

= Pr{


= ( Pr{




= { ( 1 - 0.7 ) - 0.2 } / ( 1 - 0.7 )
= 1 / 3
同様にして,
Pr{A |

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