利き手の「矯正」とマナー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/13 02:20 UTC 版)
個人差は多く見られるが、大人になるほど利き手の変更は困難である。そのため、幼少時に周囲の人物が、箸や鉛筆、ペンなどを使う「利き手の変更」を行なわせようとすることが洋の東西を問わず行われてきた。かつては左利きを身体障害者と考える人・地域は多く、さらには知的障害の一種のように扱う人もいた。そのため利き手の矯正はかなり高い比率で、時には厳しい体罰を伴ってでも矯正されていた。 しかしこの「矯正」は本人が望んだものではないため、うまく腕を動かせないストレスに加え、「矯正」の指導をする親が激しく叱ることが多く、ジョージ6世の例など悪影響、後遺症が少なくない。 科学の発達で左利きは障害ではないことが広く知れ渡ると同時に、個性の一つとして考えられるようになった。1920年代には既に左利き矯正が有害であることが指摘されている。 矯正する親の割合は減ってきたが、後述の文字筆記上の不便さから学校受験などで不利になると考え、また生活上の不便(後述)を考えて矯正する親も多い。 幼少時はまだ利き手が定まっていないと考えがちであるが、変更しようとする=既に左を多用しているわけで、この段階で利き手は明確に定まっている。利き手は箸や筆の持ち方とは全く異なることを理解しなければならない。幼少期の変更が多いのは適切な時期だからではなく、親の影響力が強い時期であるからと考えられる。 しかしながら、「右」と「左」とにそれぞれ意味をもつ文化では、右手左手を使い分けが定められている場面もある。例えば、インドや中東では左手は一般的に排便の処理をする「不浄の手」であり、左手で食べ物を食したり、他人に物を渡したりするのは多くの場合マナー違反である。また、日本の多くの芸道・武道や文化(書道、茶道、華道、弓道等や日本料理等)では、利き手に関わらず、右優位のしきたりが決まっている事がある。 一部には我が子をクリエイティブな能力のある子供に育てようと、右利きの子供を左利きにしようとする親もいるが同様の悪影響があるため全く薦められない。
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