出洞と通報
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 23:07 UTC 版)
「岡山地底湖行方不明事故」の記事における「出洞と通報」の解説
次に、救援を要請するために出洞する人員について検討し、Fからは洞内では単独行動をしないのが原則であり、2名を残して2名が出洞し、通報するべきとの意見が出た。しかしこの時点で、O、K、Sの3人は湖で泳いでいたほか、Fも地底湖に到達する途中の水流部で全身が濡れていたため、長時間この場所に停滞することは低体温症を引き起す危険があった。Oは2名を残した場合、二次災害の危険性が高いと判断し、全員での出洞を決断した。 班員は出洞前に、Nを待機していた場所の目立つ岩の上へ「N君へ、ここで待っていてください。救援が来ます」と書いたメモと、保温性の高いサバイバルシートを置いた。このメモの場所にライト等を点燈設置することはしなかった。 午後2時50分に出洞を開始し、各ラダーポイントに張ったロープはそのまま残置した。出洞するまでの間にOとFが通報について検討を行い、警察と消防に通報する必要があるとの結論に達した。 午後4時に出洞が完了、午後4時15分に日咩坂鐘乳穴神社に到着し、そこでOとFがそれぞれ警察と消防に通報しようとしたが、ここでKが、通報は一人が行ったほうがいい旨と、警察や消防への連絡の前に、チーフリーダーのDへまず連絡したほうがいいのではないかという旨を意見した。そこでOも、ケイビング経験のない警察や消防よりもDらのほうが迅速な行動が可能であり、また警察に通報すると即時に入洞禁止措置が取られ、捜索ができなくなると考えた。 そこで午後4時17分、Oは携帯電話で最初にD、次にMへ連絡を試みたが不通で、他の参加者にも繫がらなかった。午後4時25分、Oは香川大学ODSC在郷連絡先の緊急連絡受信係に連絡を行った。また通報についても同時に相談し、連絡受信係はOの話から、水中以外の場所にNがいる可能性もあると判断し、その場合はケイバーによる捜索が必要である、そのためDの出洞を待って合宿参加者で捜索するほうが良いのではないか、と提案した。 この提案をOとKも支持し、午後4時45分、2人はSとFを神社に待機させ、他の班へ事故の発生を知らせるため、車で宿所に戻った。午後5時16分に宿所に到着し、直前に到着していたMとEの班に事故の状況を説明した。 この日、通り抜け班で初めに事故の発生を知ったのは、MとEの班に入っていた香川大学ODSC会員の一人が、班が宿所に到着後、香川在郷連絡先へ出洞報告を行ったときだった。Oの報告を受けていた連絡先の係が事故の件を伝え、その直後に日咩坂鐘乳穴班のOとKが宿所に到着した。Dに連絡を取るため、Mともう一人の同班の班員が車でゴンボウゾネへ向った。 一方、Dの班はゴンボウゾネの穴で登攀ルートがわからず約1時間迷っており、出洞後に1時間林道を歩いて午後6時11分に車道へ出たところで、車で待機していたMらに会い、初めて事故の発生を知った。Dは警察への通報をEに指示し、午後6時12分にEが警察へ通報、警察から消防へ通報が行われた。
※この「出洞と通報」の解説は、「岡山地底湖行方不明事故」の解説の一部です。
「出洞と通報」を含む「岡山地底湖行方不明事故」の記事については、「岡山地底湖行方不明事故」の概要を参照ください。
- 出洞と通報のページへのリンク