公道用とレース用のエアロパーツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 03:38 UTC 版)
「エアロパーツ」の記事における「公道用とレース用のエアロパーツ」の解説
高性能車は走行安定性を重視した空力特性に設計される傾向が有り、アウディ・TTが超高速域での横転事故多発を受けリコール扱いでリアスポイラーが追加された例があるが、これは気流の向きを変更しリアの揚力を減らして車両の安定を確保するのが目的である。 一般車は燃費低減を目的とした空気抵抗低減や風切り音低減のため、メーカー純正でもアンダーカバーやタイヤディフレクター等の各種エアロパーツで整流が行われる例が増えている。 レースカーに装着されるエアロパーツはドラッグ(空気抵抗)をなるべく増やさずに強力なダウンフォースを得ることを重視して設計される。また、レースカーは規定で定められた車両形状や走行条件、ルールに沿う形で最も効果的な形状のエアロパーツが開発され取り付けられる。 F1カーなどに代表されるレース専用車は重量がほぼ軽自動車程度であり、極端に軽いため車体の重量によってタイヤを路面に押し付ける力が大変弱い。その上に非常に大きなパワーを持っているので、そのままの状態ではタイヤの性能を100%使い切るのが困難である。そこで各種エアロパーツや空力的ボディ形状により強大な下向きの力(ダウンフォース)を与えてタイヤを強く路面に押し付けることで、サーキットを速く走るのに必要なタイヤのグリップ力(摩擦力)を獲得しており、まるで路面に磁石でくっついているような市販車では到底不可能な速度のコーナーリングが可能である。そのダウンフォースの大きさはF1カーで2トン、グループCカーで最大3.5トンとも言われている。その強大なダウンフォースのため走行中の車高は下がり、ストレートエンドの最高速付近で底が擦るほどになる。空力を使ったダウンフォースは車の重量を使ったダウンフォースとは違い、慣性には全く影響しないため運動性を失うことはない。 これらのレース専用車ではタイヤのグリップ力はダウンフォース量で決まるため、高速になるほどグリップが増し、低速になるほどグリップが減るという特徴がある。前走車の後ろを走ると乱流のためダウンフォースが減り、車が不安定になりがちである。そのため、このようなレース専用車を速く走らせるためには、一般車両とは違う独特の運転技術が要求される。
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