全共闘内部の世代格差
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 22:02 UTC 版)
「全学共闘会議」の記事における「全共闘内部の世代格差」の解説
「全共闘世代」という表現もあるが、参加者には20代後半の大学院生から学部の下級生に至るまで、10歳以上もの年齢の幅が見られた。千坂恭二の全共闘論 によれば、大学院生や学部の3・4年生と入学間もない教養部の1年生との間には学生運動に対する意識にかなりの差違があった。大学院生や学部の上級生は、ある程度自我を確立した年齢で学生運動を行い、運動もまた反戦平和志向の最盛期だった。一方で教養部の下級生は、それより若い年齢で学生運動を行い、運動は革命戦争の軍事的志向となり、その中で自我の形成をしていったと言う。このことから、大学院生や学部上級生を「理想主義的でヘーゲル主義的、反戦青年的」とすれば、学部下級生は「ニヒリズム的でニーチェ主義的、軍国少年的」であったと評している。 院生や学部上級生は運動が衰退しても医者や弁護士、研究者・大学教員などとして社会へ適応していったのに対し、学部下級生は中退・除籍の末、非正規雇用へと流れていく者も多かった。そこに院生・学部上級生の「昨日の世界の市民」性と、学部下級・高校生の「今日のフライコール(義勇軍)」性の深淵があるとも言われる[誰?]。 その後、マスメディアや出版物などで諸般の「全共闘論」などを展開しているのは、主に大学院生や学部の上級生の世代であり、そこには学部の1年生など下級生の世代のニヒリズムはあまり盛り込まれていない。 前記の千坂によれば、俗に「全共闘世代」といわれるものに該当するのは主に前者、つまり当時の大学院生や学部の上級生であり、それに対して当時の学部の下級生や浪人、高校生は、全共闘の中でも運動の最前線におり、全共闘の上級世代とは内部的に区別され「バリケード世代」(突撃隊世代、前線世代とも)と表せるとのことである。 このような世代的な格差は、小阪修平(三島由紀夫が東大全共闘と対話集会をもったとき『討論 三島由紀夫vs.東大全共闘―美と共同体と東大闘争』の積極的な発言者の一人である)の全共闘論 においても確認できる。
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